――クアルトリクスですべてのデータを分析しているのですか。

木下:はい。例えばある社員がパフォーマンスを発揮できていない場合、その社員の個人の問題なのか、会社全体の共通課題か、部署によって温度差があるのか、市場の問題かという様々な原因が考えられます。このようにデータに基づいて議論する必要がある場合に、クアルトリクスでコンディション調査をすれば、どのレベルでの打ち手が必要なのか明確になります。

――データドリブンで、組織と人事に関する課題が「見える化」されるわけですね。

木下:その通りです。組織の健康診断ですね。クアルトリクスというプラットフォームにすべてのデータを集約して、様々な分析が可能になります。

数値向上だけがダイバーシティの目的ではない

――ダイバーシティ推進については、どのような取り組みをしていますか。

木下:当社も1800人体制になり、日本でも約2割のノンジャパニーズ、外国籍の社員が働くようになりました。出身国も約40カ国になります。多国籍の方が同じオフィスで働いていると、言語はもちろん文化も違うので、コミュニケーションの難易度が上がります。評価のフィードバックでも、同じ国籍の人同士なら以心伝心ということもありえますが、異文化の人とフィードバックをし合う時は、表現に気をつけないと誤解を招いたり、納得してもらえなかったりすることが多々あります。

 そこで経営陣は、「メルカリとしてダイバーシティとどう向き合うか、会社の意見を整理しよう」という議論を始めました。その際、メルカリのミッションが「世界的なマーケットプレイスを作る」であり、「世界中で愛されるメルカリになる」というスローガンを再認識することになったのです。そのためには、世界中のタレントが一緒に働き、世界から愛されるサービスを作れる組織を実現していく、という方針を固めました。

 メルカリのダイバーシティの目標は、単に外国籍や女性社員の比率を上げることではありません。皆がのびのびと働き、その人のポテンシャルがフルに発揮できる環境を作り、結果的にはお客様が満足するサービスを提供することです。ダイバーシティの本質は「一人ひとり違っていても、お互いにリスペクトし合って皆が活躍できる」ことだと思います。このダイバーシティの方針を策定して社内で発表し、ウェブサイトで社外にメッセージを発信しました。

 また米国のCEOがダイバーシティのアンバサダーとなり、社内のD&I(Diversity and Inclusion)に対する皆の認知度や目線を上げ、経営陣の中でも発信していく役割を担っています。彼は、「結果的に女性管理職比率が上がるのは良いが、数値目標ありきでダイバーシティを進めるのは間違い」と指摘し、「女性だけで○○する」「外国人だから○○」といった考え方はやめよう、と語っています。