医療用眼科薬などアイケア製品で大きな市場シェアを持つ参天製薬。創業130年の同社は、この1~2年の間に急ピッチでグローバル化を進めている。推進役として人事制度を大きく変革している、同社執行役員人事本部長藤間美樹氏に話を聞いた。

――2018年から、HRに関する大きな組織改革を行いました。

藤間美樹(以下、藤間):当社はこの数年で、ビジネスがグローバルに拡大しました。2018年に海外売上比率が31%を超え、従業員4000人の過半数が海外在住です。それまで世界の各拠点ごとに売上を作ることに集中していましたが、2018年に谷内樹生が社長に就任したのを機に、経営も人事もグローバルに統一し効率よく進めていくことになりました。

 私の考えるグローバル化とは、本社と子会社が一つの組織として動くことです。トップダウンで決めた方針を押しつけたり、上から管理したりするのではなく、各地区の叡智を結集して会社を成長させていくことが必要です。そこで2018年から各地の人事ヘッドを訪問し、現時点での人事の課題について細かくヒヤリングしました。当初、海外の人事ヘッドから「我々はこの拠点でビジネスを最適化している。グローバルでの効率化は我慢を強いられることになる」という意見も出ましたが、地道に徹底的に議論を重ねてきました。

 こうして2019年4月に、人事本部内にHRSLT(HR Senior Leaders Team)を作りました。各拠点の人事ヘッドが参画するグローバルな意思決定機関です。この下に重要なグローバル人事課題を議論し解決策を提案するGlobal Task Forceを置き、HRSLTの上にはHead of HR(最終責任者)を置くという、グローバルHRガバナンス体制になったのです。

参天製薬 執行役員 人事本部長 藤間美樹氏
1985年藤沢薬品工業(現アステラス製薬)に入社し、営業、労働組合、人事、事業企画に携わる。2005年バイエルメディカルに人事総務部長として入社。2007年武田薬品工業に入社し、本社部門の戦略的人事ビジネスパートナーをグローバルに統括するグローバルHRBPコーポレートヘッドなどを歴任。2018年7月参天製薬に人材組織開発本部副本部長として入社し、グローバル化を推進。2019年4月より現職。(撮影:菊池くらげ)

重要な人事課題をタスクフォースで議論

――新体制になり、どんな点が変わりましたか。

藤間:各地の人事ヘッドと人事課題について話し合ううち、採用施策、評価制度の改訂、タレントレビュー、EVP(Employer Value Proposition=企業として、従業員からどのように認識されたいか)など、課題が30ほど出てきました。

 そこでこの中から優先順位の高い7つを選び、Global Task Forceとして議論を進めることになりました。それぞれの課題についてタスクフォースのチームごとに検討してHRSLTに提案し、HRSLTが審議して決定します。最終決定権は私が持ちますが、「俺が責任を取るから皆で思いきってやってほしい」というメッセージを伝えました。タスクフォースの1つ目は、これまでになかったHRフィロソフィー(HRのミッションやビジョン)を作ることです。グローバル施策なので、文章は英語だけです。