2018年6月29日の「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」の参議院本会議での可決・成立を受け、7月6日に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が公布されました。これにより、2019年4月からの施行に向け、本当に待ったなしの状態となったわけです。

 働き方改革関連法は8つの労働法の改正についてのものではありますが、その大きな柱の一つとなっているのが、「長時間労働の是正」です。そのため、時間外労働の上限は、原則、月45時間、年360時間である(臨時的な特別な事情がある場合および、適用猶予・除外の事業・業務を除く)ことが明記されています。企業は今までよりもさらに正確な実態の把握と、月45時間、年360時間の時間外労働でこれまでと同じ、あるいはそれ以上の成果を出す方法の模索、仕組みの構築に本腰を入れなくてはなりません。

 取り組みの成果として分かりやすいのは、残業の削減、法定時間内での残業の遵守です。採用によって個人にかかる負荷を軽くする、つまり現段階で手に余ることが予想される時間を、単純に新しい人に割り当てるという方法ももちろんありますが、それには時間も費用もかかります。採用にかかる費用もそうですが、採用をすればそのまま、継続した人件費もかかるわけです。負担増に耐えうる企業は、そう多くはありません。施行まで1年もない今、真っ先に取りかかるべきなのは「今の人員体制で、最大限頑張ると、どのくらいできるのか」を確認することです。そうなると、「生産性を高める」ことの重要性が今まで以上に際立ってくるのです。

 第1回では、その根本的な一手として「採用段階でソフトスキルを見抜く」方法、第2回では、「個々の成長目標の設定」の方法についてお話ししました。恐らく、管理職の方も一般社員の方も、これからかつてないほどに「生産性を高めろ!」と会社のトップや上長から指導を受けるはずです。しかし、具体的な方法までアドバイスをしてもらえるケースはまれだと思います。そこで、今回は、より生産性の高い仕事のやり方を追究するというテーマで、「意識することによって、生産性の向上に具体的につながる」方法をいくつかご紹介していきます。

 まず、管理職が意識するのは、「仕事と作業を分ける」ことです。分類の基準はごく単純なものです。

 仕事=自分にしかできないこと
 作業=他の人でもできること

 「作業」に分類したことは、それがそもそも必要な作業かどうかをよく精査したうえで、最も得意としている人、効率よく行ってくれる人に任せます。「仕事」に分類されるのは、「緊急ではないけれど、重要なこと」です。例えば、採用や人材育成、ビジネスモデルや仕組みの考案などです。これらをピックアップし、しっかりスケジューリングして実施していきましょう。

 そして、管理職も一般社員も意識するとよいのは、優先順位をしっかり付けること、なかでも上長から指示されたことに早めに対応することです。上長に指示をされたからといって、作業の途中の何もかもを放り出して、というのは行き過ぎですが、スピーディーに上長のリクエストに応えることが評価につながるのも事実です。

 優先順位付けは、意外と難しいものです。何も考えずに、依頼された順、あるいはやりやすい順に取り組んでしまい、納期を守れず、その理由を「業務量がキャパシティーを超えていたから」というような人も少なくありません。しかし、その多くは優先順位をうまく付けることで解消されます。

 優先順位付けに必要な情報は2つです。一つは「いつまでにすればいいのか」という納期、もう一つは「どのくらい大事なのか」という重要性です。納期は絶対に守るべきものですが、納期は先でも、早くした方が組織によい影響があることも重要なのです。手持ち業務のなかで、納期と重要性のバランスを考慮して、順番を付けて取り組んでみましょう。