個人、組織として生産性が高い状態を維持するためには、前回いくつかご紹介した<意識することによって生産性の向上に具体的につながる方法>を取り入れたりするだけではなく、維持に必要な日々の行動を実践すること、し続けることが欠かせません。日々の行動の継続、つまり習慣化です。しかし、この習慣化は容易ではありません。

 弊社でもビジネスコーチングに関する多様なプログラムを提供していますが、企業規模にかかわらず、多くの企業が「研修で学んだことを継続的に実践できない」という課題を抱えています。会社で受けた研修に刺激を受けて、明日から取り組もうとその時は思っていたはずが、日常業務に追われて知識止まりになってしまったり、具体的な方法が習得できずに実践までたどり着かなかったりするという状況はよく見られます。

 しかし、この課題をクリアしない限り、本当に生産性の高い組織は作れません。生産性の向上は継続の結果であり、短期的に図れるものではないからです。一時的に生産性が上がったように見えても、誰かが無理をしているなど、いずれほころびが出るような方法で出した結果であれば意味がないのです。

 「習慣化が結果につながる」の代表例は、ダイエットです。理想の体重を掲げてみても、それだけで減るわけではありませんし、急にジョギングを始める、甘い物NG、炭水化物NG、朝はりんごだけ、といった極端な禁止・制限事項が多いアプローチでは、意志の強さが結果の大部分を左右してしまうことになります。禁止・制限事項は、一度は目標達成までのスピードを速めるかもしれませんが、いずれ恐怖のリバウンドにつながる可能性が大です。それよりも、「体重計に載る」「飲み会は1次会で帰る」「ワインは1日2杯まで」などの無理のない取り組みで、これから先も当たり前のようにやっていけるように、日常に取り込んでいく方法の方が、健康的に減量ができ、よい状態を維持できるということになります。

 習慣化のポイントは2つあります。一つは生産性が高い状態をイメージし、その状態に近づけるための行動に具体化すること。もう一つは、第2回の「成長目標の設定」の時と同じように、取り組みを個人任せにしないこと(=メンターや上長がフォローすること)です。

 では、どのような行動に具体化すればよいでしょうか。例えば営業職の方にとっての「生産性が高い」状態の一つは、工数をかけずに受注までつなげることだと思います。それには、世の中の出来事も含め、様々なテーマに関する仕事で役立つ知識にアンテナを高くしておいたり、プレゼンテーションやコミュニケーション、フォローアップの能力を磨いたりすることが求められます。

 それらを「どうやって情報を日常的にキャッチするのか?」「コミュニケーション能力をどうやって磨くのか?」というような観点から、より詳細な行動に落とせば、実践しやすさがアップします。営業力やコミュニケーション能力アップのビジネス書は数え切れないほどありますから、そういった書籍から日々の行動に落とし込むのもよいと思いますし、先輩や業界で成功しているビジネスパーソンの習慣をまねするのもオススメです。

 日々の行動に落とし込み、それができたかどうかを日次でチェックすれば、大々的に取り組まなくても、1日のわずかな時間を使うだけで、意識にもすり込まれますし、体にもしみ込ませることができます。そして、自分のなかで習慣化されたという実感があり、メンターや上長もそれを感じているのであれば、さらなる生産性アップのための行動をリストアップして、同じように取り組みます。そうすれば、生産性の上がる日々の行動が、積み重なっていくことになります。