コミュニケーションは、いつの時代も上司と部下の間に存在する代表的な課題の一つです。かつては、対面か電話の2つしかなかったその手段が、メールやLINE、電話会議等々、多様化したことで、職場のコミュニケーションは大きく変化しました。特に、メールやLINEに代表される文字でやりとりができる選択肢の登場によって、それぞれが都合のよいタイミングで相手にアプローチできるようになったのは、画期的であったと思います。

 目の前あるいは電話の前にいなければならなかった時代には想像もできませんでしたが、今は例えば、朝の通勤電車の中で上司が部下にメールを送り、部下がランチの行列に並びながらそのメールに返信をしても、コミュニケーションが成立するわけです。時間と場所の制約がなくなった結果、コミュニケーションの頻度は以前に比べ、少なからず上がったと思います。

 それでも、今もコミュニケーションは、多くの企業の課題の上位に上がってきます。便利になったのかと思いきや、「隣の席にいるのに、メールで連絡をしてくる」「上司が夜中に怒りに任せた長文メールを送ってくる」「休日にもどんどんメールが来て、休んだ気がしない」など、そのデメリットも多く発生していますし、文字でのコミュニケーションだからこそ、想いと文章力が比例せずに、本当に伝えたいことが伝わらずに相手との関係がこじれてしまったり……といった、新たなコミュニケーションスタイル特有の課題も続出しています。

 昔の課題は「量の不足」を指していたように思いますが、手段が多彩になり、努力次第で量を補える時代になったからこそ、今度はその「質の低さ」が課題になってきているように思います。時間と場所は問われなくなっても、以前と同じく、コミュニケーションに費やす時間は確保しなくてはなりません。生産性向上が求められている今、時間の有効活用は必須です。「生産性向上」を唱えている上司が、意味のないコミュニケーションで部下の時間を奪うようなことは避けたいものです。これからは、今まで以上に質の高い<意味のあるコミュニケーション>が望まれていると思います。

 では、「意味のあるコミュニケーション」とは、どんなものでしょうか?

 私は、部下が自発的にモチベーション高く仕事に向き合い、結果を出し、成長をし続けることをサポートするコミュニケーションのことだと思います。雑談NG、効率よく行わなければNG、褒めないとNG、という話ではありません。皆さんもご存じの通り、モチベーションは、いとも簡単に下がりますが、それを高めたり、一定の状態を保ち続けるのは難しいのです。自発的にモチベーション高く仕事に向かい、結果を出すサポートができるのであれば、雑談をしてもかまいませんし、本当に必要なら、いくら時間がかかっても問題はないのです。

 「意味のあるコミュニケーション」を行うためにすべきことは2つあります。一つは、ビジョン・ミッション、ビジネスモデルなど、会社の基本的な共有事項について、全員が同じように認識している状態をつくることです。

 ビジョンやミッションは、そこから行動規範や価値観を生み、何かの際の判断基準としても役立ちます。また、どのようなお客様に、どのような成果を提供し、どのようなマーケティングを行うのかなどのビジネスモデルの共有も必要です。社員はそれらに沿って、行動・判断をするのですから、その部分の認識が一致していれば、様々な話の理解が進みやすくなりますし、行動もしやすくなります。