そして、上司は何よりも教育者でなくてはなりません。上司の唯一無二の仕事は「自分よりできる人をたくさん育てること」だと私は思っています。様々なチャレンジやイノベーションをしても、そこにわずかでも自分のエゴが入ってしまうと、組織は腐ってしまいます。その上司が去ったあとに、組織を一から立て直さなくてはならなくなってしまったら、生産性向上どころではありません。自分がいなくてもきちんといつも通り回る組織をつくるために、たくさんの人を育てて、自分は次のステップへと卒業していくという考え方が必要だと思います。

 「自分よりできる人をたくさん育てる」という意識が重要なのは、上層部だけでなく各階層にも言えることだと思います。マネジャーや部長は自分よりできるマネジャーや部長を、チームリーダーや課長は自分よりもできるチームリーダーや課長を、5年目社員は自分よりできる5年目社員を育てる!という心構えで、仕事と向き合うことで、組織が少しずつ底上げされれば、生産性の向上も組織の成長も結果としてついてきます。

 「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」の施行までにどんな事前準備をするのか。現状を分析し、何をどう改善するのか、そのために何をするのかを考え、実践する。それは、それぞれの立場でできる仕事です。時間はあまりないかもしれませんが、前向きな姿勢で向き合うことが、組織の未来を明るい方へと導くはずです。

細川 馨(ほそかわ・かおる) ビジネスコーチ株式会社 代表取締役
細川 馨

 外資系生命保険会社に入社し、支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。
 2005年にビジネスコーチを設立。エグゼクティブコーチ育成のスクールを主宰。著書に『あなたの成果が爆発的に飛躍するできる仲間の集め方』(日経BP社)、『上司は社員と飯を食え』(日経BP社)、『「右腕」を育てる実践コーチング』(日本経済新聞出版社)など。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。