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 非常事態宣言が解除された後も、日立製作所、富士通、資生堂のように50%未満出社や週2~3日出社と在宅勤務を組み合わせた働き方を認める日本企業大手も出てきた。これらの企業には、新型コロナに先んじてジョブ型雇用への転換に取り組んできた背景がある。

 昨年、日立製作所CHROの中畑英信氏は、当メディアの取材記事で「人は経験をしないと伸びません。そこを変えるために、手挙げをやりたい。そのためにはポジションごとに必要なスキルや経験、要はジョブディスクリプションが絶対に必要です。メンバーシップ型ではなく、ジョブ型にしていくということです」と語った。また、「『上長が自分のことをよく見ていてくれて、いいタイミングで昇進させてくれる』と安心している向きもあります。ですが、そんなことは起こらなくなります」とも述べていた。

参考記事:グローバル人事戦略で意識改革~日立製作所~

仕事とキャリアは指示されるものではない

 中畑氏が指摘した状況は、コロナ禍の在宅勤務移行で現実になった。在宅勤務に取り組む企業で表面化した問題の一つが上司と部下のコミュニケーション不足。「自分の仕事は部下を管理することだったのか」という管理職、もしくは「自分の仕事は日々指示されるものだったのか」という部下の気づきもあっただろう。露呈したのは、会社や上司が指示し、規定する受け身の仕事とステレオタイプな働き方だ。これまで一人ひとりの職務要件を定義し、そのために何の仕事に取り組むかという棚卸しの仕組みと働き方が実現されてこなかった。

 ジョブ型雇用では、その企業に必要とされる役職と対応する職務(ジョブ)を明文化する。職務と報酬制度は連動しており、従業員には職務を果たすためのスキルと経験が求められる。これを身に付けるために従業員一人ひとりが常に学び続け、自身のキャリア形成に当事者意識を持つこと、すなわちキャリア自律が必要不可欠だ。

 VUCAといわれる変化が激しいビジネス環境で、かねてから社内外に通用する人材育成の重要性は指摘されてきた。だが、解雇や雇い止めも増えつつあるコロナ禍にあってどう人材育成に取り組んでいけばよいのだろうか。

人材育成を資産形成と捉える

 新型コロナ関連の解雇や雇い止めは5月28日時点で1万5823人だったのが6月4日時点で累計2万540人へ、わずか1週間で5000人近くも増えている(厚生労働省調査)。新型コロナによる業績悪化で、生き延びるためのリストラ策は続くだろう。だが、パラダイムシフトが起こる時こそ、新しいビジネスの創出とそれを実現する人材が必要となる。