志望度が上がったフォロー・下がったフォロー

 具体的には、どのようなフォローで入社意欲を固めるのでしょうか。これまでに実際に受けた内定後のフォローで、志望度が上がったもの、反対に下がったものを尋ねました。

 志望度が高まったものとして「不安を伝えた時にすぐにOB訪問をさせてもらえたこと」と話す学生は、OB訪問を設定してくれたことだけでなく、速やかに対応してくれたことが好印象で、入社を決めたそうです。

 ほかには「内定承諾の前に、これまでの面接でどのような点が評価されたのかと、今後伸ばしていかなければならない点をフィードバックしてくれたこと」「面接官満場一致で、来春より当社で働いてほしいと、内定通知の時に仰っていただいたこと」など選考過程のフィードバックを受けることで、入社意欲を高める学生も多数います。

 「面談などでお世話になった社員の方から直接電話がきて、おめでとうと言ってくれたこと」「リクルーターが個人的にお祝いといってランチに連れて行ってくれた」「人事の方から、個人的にもあなたの合格はうれしいと言われたこと」などという学生も多く、選考中から関係が構築できている社員が、内定後も継続してフォローすることで、内定後のフォローの効果を高められるといえるでしょう。

 ほかにも、「内定後の返事に関して、他社の選考が終わるまで待ってくれたこと。率直な相談にも親身かつ柔軟に対応してくれ、結果的に志望度が上がってその会社への就職を決めました」という学生は少なくありません。反対に「内定承諾の期限が1週間しかもらえなかった」「選考が残っている企業について、何度も電話で面接日程など細かく聞かれる」などで志望度を下げたという学生も多数いました。企業側としては、早く承諾してほしい、どの程度入社意欲があるのか量りたいという気持ちが、学生からは「プレッシャー」「オワハラとまではいかないが正直重い」など負担に感じ、逆効果になっているケースが多いようです。

 また「内定通知後、何もフォローがない」という声も多く聞きました。「2社内定をもらい、A社はすぐに面談をセッティングしてくれて、不安を解消してくれたが、B社は何もフォローがない。このまま入社を決めるのは怖いので、A社に入社しようと思う」という学生もいました。

 継続して選考活動をしている企業の場合、内定者フォローに手が回らないという方もいらっしゃるでしょう。もし懇親会などの計画があれば、少し先の日程であっても早めに知らせることで、安心感を与えられるでしょう。6月初旬に「内定者フォローは今のところないが、7月下旬に内定者懇親会があると聞いている。同期に初めて会えるので楽しみ」と心待ちにしている様子の学生もいました。

 就職先企業決定という大きな決断を前に、多くの学生が「いかに真摯に自分と向き合ってくれるか」を見極めているように感じます。学生の内定獲得時期や決断のタイミングも、個人差が出てきている今、画一的でない、一人ひとりに合わせたフォローが求められているといえるでしょう。

調査概要

調査対象:2019年3月に卒業予定の大学4年生(理系は大学院修士課程2年生含む)
回答者数:1,145人(文系男子339人、文系女子352人、理系男子296人、理系女子158人)
調査方法:インターネット調査法
調査期間:2018年6月1日~5日
サンプリング:キャリタス就活2019学生モニター(2016年卒以前は「日経就職ナビ・就職活動モニター」)

松本 あゆみ(まつもと あゆみ) 株式会社ディスコ キャリタスリサーチ 研究員
松本 あゆみ

ディスコ キャリタスリサーチでは、新卒採用マーケットを中心に就職・採用に関する調査・分析を実施。「キャリタス就活」の会員から「就職活動モニター」を組成し、学生の就職活動状況や内定率、志向などを定期的に調査するほか、新卒採用を行う企業を対象とした調査も実施、採用計画や充足率など採用活動状況などの分析を行っている。
筆者は、株式会社ディスコ入社後、採用アウトソーシング、就職情報サイトの学生向けプロモーション、採用コンサルティング部門などを経て、2015年より現職。

●株式会社ディスコ キャリタスリサーチのサイト
http://www.disc.co.jp/career_research/

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。