■3年前とは大きく変化した採用担当者の考え

 当社では2014年にも「ブラック企業についての考え」の調査を行っていました。当時と、働き方改革の実行計画が策定された現在とでは、「ブラック企業」に対する考え方に変化がみられるのか、比較してみました。

 ここでは最も変化が大きかった「1カ月の残業時間」のデータをご紹介します。採用担当者の回答は、「100~120時間未満」が3年前より10ポイント近く減少するなど、全体的に前回調査より短い時間に回答が集まりました。これは、働き方改革に関して社会的な注目が集まったことと無関係ではないでしょう。人事部として自社の働き方改革を先導している方もいらっしゃるかもしれません。意識の大きな変化が浮き彫りとなりました。

ブラック企業になると思う目安【1カ月の残業時間】/学生
ブラック企業になると思う目安【1カ月の残業時間】/学生
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 一方、学生側は「60時間未満」の選択率が計47.3%から計40.9%と6.4ポイント減少。全体的に前回調査より長い時間を回答しており、企業と逆の傾向が見られます。残業時間の上限に関する報道などで、具体的な数字を目にする機会が増えたことなども影響しているのかもしれません。

ブラック企業になると思う目安【1カ月の残業時間】/採用担当者
ブラック企業になると思う目安【1カ月の残業時間】/採用担当者
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 「昔と大きく価値観が変わっているため、企業側が意識を高く持つことが必要。時代の流れに乗り遅れると、いつの間にかブラック企業の烙印を押されてしまいかねない」と危機感を持っている企業も少なくありません。

 ただし「働きやすさのアピールばかりされて、仕事が面白くないんじゃないかと疑ってしまった」「仕事内容が知りたくて説明会に行ったのに、制度の話ばかりでうんざりした」などと、企業の過剰な「働きやすさアピール」を嫌がる学生もいます。また、「人事からの説明は美化されているので信用していない、現場の社員から実情が聞きたい」という声も少なくありません。制度面や取り組みについては、必要とする学生がいつでもアクセスできるよう、採用ホームページやパンフレットなどに掲載し、実情はリクルーターなど現場社員を通して伝えていくことが望ましいでしょう。

調査概要
「就活生・採用担当者に聞いた「ブラック企業」の基準」(2017年11月発行)

企業調査
調査名:採用に関する企業調査(2017年10月調査)
調査期間:2017年9月27日~10月4日
回答社数:全国の主要企業 1,362社
従業員数:~299人/430社、300~999人/542社、1000人以上/390社

学生調査
調査名:キャリタス就活2018 学生モニター調査
調査対象:キャリタス就活2018 学生モニター
調査期間:2017年10月2日~10日
回答者数:1,225人(文系男子408人、文系女子350人、理系男子305人、理系女子162人)

調査方法:インターネット調査法
調査機関:株式会社ディスコ キャリタスリサーチ
松本 あゆみ(まつもと あゆみ) 株式会社ディスコ キャリタスリサーチ 研究員
松本 あゆみ

ディスコ キャリタスリサーチでは、新卒採用マーケットを中心に就職・採用に関する調査・分析を実施。「キャリタス就活」の会員から「就職活動モニター」を組成し、学生の就職活動状況や内定率、志向などを定期的に調査するほか、新卒採用を行う企業を対象とした調査も実施、採用計画や充足率など採用活動状況などの分析を行っている。
筆者は、株式会社ディスコ入社後、採用アウトソーシング、就職情報サイトの学生向けプロモーション、採用コンサルティング部門などを経て、2015年より現職。

●株式会社ディスコ キャリタスリサーチのサイト
http://www.disc.co.jp/career_research/

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。