生産性と創造性を向上するための3本の柱

 人事変革の柱として、2019年から3年間の中期計画を立てました。「自律と責任」というファンダメンタルなポリシーのもと、①自律的キャリア形成②人財シナジーの創出③市場価値に基づく処遇という3本を柱にしています。KDDIのフィロソフィは、「全従業員の物心両面の幸福を追求する」。そして、私たちが考える真のダイバーシティとは、「すべての社員がイキイキと生産性高く働き続ける」ことです。そうした社員がイキイキと働く風土や文化を成熟させるためにも、健全な職場環境、多様な働き方の実現、生産性と創造性の向上に取り組んでいます。

①自律的キャリア形成

 会社が一方的に業務を決めるのではなく、全社員が自分のキャリアを自分で考え、持っているスキルや希望を書き出し、キャリアパスを明確化し、それに適した機会を与える一助を人事が担っていきます。特に、若手とシニアを中心に活躍の場の提供を行っていきたいと考えています。せっかく熱意を持って入社したのに、下積みが長くて燃えるものもなくなってしまう、そうならないように彼らのエンゲージメントを上げていきます。また、シニアの経験やナレッジを生かした対策も増やしていきます。

②人財シナジーの創出

 能力の高い若手がくすぶっている現状を打開し、彼らをより理解し、活躍の場を増やすためにも、インフォーマルな交流の場を提供していきます。現在活躍している30代のリーダー層が若手の時、どんな事を考えていたかなどを20~30代前半の社員が聞き、キャリアを考える場を提供していく予定です。これはオンラインでも実施します。さらに、グループ会社横断での人財シフトも取り入れていく予定です。

③市場価値に基づく処遇

 高度な技術や専門能力を市場価値基準で処遇し、成長を促進していきます。特筆すべきスキルを持った社員や会社に貢献している社員には、年齢や勤続年数に縛られず、実力主義で評価すると共に、高度専門職制度の深化を進めていきます。

 これら3本の柱を軸に、社員一人ひとりが自ら考え、行動し、成長することに報いる会社を作っていくのが、これからの人事の役割なのです。

対話と強い思いが強力なCHOを作る

 エンゲージメント(Engagement)を向上していくためには、情熱を持つ=Energy、励ます=Encouragement、機会を作り、裁量を与える=Empowerment、元気づける=Energizeという4つのEが必須です。それらを高め、会社に注げるようにしていけば、会社のエンゲージメントは高まります。それが人事の役割だと考えています。

 これからの人事は、攻めるしかもう企業が生き延びる術はないでしょう。そして、経営と人事が一体となる。まさに、経営の発想を共有し、一緒に人事に取り組む必要があるのです。その結果、人事が会社を強くしていき、経営に貢献できます。

 人事は守られた領域でそつなく進めていく時代ではありません。人事から会社を変え、イノベーションを起こしていく。壊すべきものは壊して、新たな文化を作っていく。今、それがCHOに求められていることなのです。

 そこに必要なのは、対話です。CEOやCFOなど、それぞれのトップとの対話は絶対に欠かせません。混沌とした時代の中で確かな結論を導くには対話しかありません。もちろん結論はなかなか出ません。ダイバーシティをやっていればいるほど、異なる意見はたくさん出るはずだからです。それがダイバーシティの良さなのです。そこで対話を放棄したらいいものは出てきません。

 その対話と、そして強い思い。思いのない人事は、人事をやってはいけないのです。誰にも負けない強い思いを持つのが、最も強力なCHOだと思っています。