①実務分析を研修に盛り込むこと

 実務分析は、弊社の場合、問題解決研修では必ず実施する。弊社の問題解決研修では「問題発見→要因分析→課題形成→決定分析→リスク分析」の各部分を体系的に学び、その後に受講者一人ひとりが実務分析を行う。そのなかでも特に、問題発見から課題形成までの上流を重視している。問題は発見されなければ解決されない。

 そのことから、研修では発生してしまった不具合や、売り上げ低下などの過去問題ではなく、どうすれば提供するサービスレベルを上げられるか、質を高められるか、競争相手に勝てるか、顧客数を増やせるか、顧客の定着を維持できるか、などの現在型問題を扱い、その解決を期待される受講者が組織から選抜され受講する。

 このような実務上の優先問題を事前に上長とよく相談し、準備し、通信教育などの事前学習を経て集合研修に参加してもらうのである。受講者の意欲は必然的に高い。組織的に重要な問題解決を期待されているのだから当然であろう。研修は人材育成のために行うが、問題解決による成果の獲得と問題解決のプロセスに上長を関与させ、組織開発も狙う。まさに、複眼的な目標をもつ育成機会となるのである。

②一過性の集合研修ではなく、継続すること

 読者諸氏は、集合研修は一過性であることを知っている。また、研修がすぐには効果を生まないと感じている方も多いだろう。しかし、今、企業研修に求められるのはその逆。一過性ではなく、成果を出せということだ。とすれば、一過性ではなく成果を出すためにはどうすればよいかという問題解決が、まさに我々サービス提供者側に突き付けられている。

 私は一過性の研修を通常はやらないが、継続性を持たせるのであれば受講者個別の支援が有効であることは第4回、第5回で述べた通りである。受講者は一人ひとりが目標もビジネスも業務も異なる。そこを同一にすることはできないのである。継続にあたってのポイントは受講者個別に研修の中で何をするか(ToDo)を明確にすること、にある。そのことが1 on 1®が受け入れられている理由であろう。

③上長が必ず関与すること

 研修を生かすも殺すも上長次第である。受講者は学びを実践に移す時に上長と相談する。その際に「研修は研修、実務とは違うから」と言われれば研修での学びはその時点で終わる。上長からすれば育成にかける時間がない中で研修を利用しない手はない。とすれば、部下が受講する研修の内容をよく理解し、どのように関わるのかを部下と考えるべきであろう。そのことから、上司の関与の仕方をあらかじめ企画している研修が求められることにも合点がいく。

④研修の成果確認、受講者間での内容共有、相互フィードバックの機会があること

 研修は集合、個別の両面から進行する。受講者は共通で問題解決のプロセスを学び、そのプロセスを用いて、状況を評価し、判断し、取るべき行動を決定し、実践してきた。その過程を振り返り、何が得られたのか、何が教訓として残ったか、どのようなノウハウを得たのかを、受講者5名程度が半日の分科会形式で集まることが効果的である。

 学びを共有し、上司が成長の過程や観察した変化を述べ、相互のフィードバックシートに記入し、口頭でのフィードバックを与え合う機会を持つのである。このことが経験学習の横展開につながり、成果を得る早道となる共有につながる。弊社ではこのような“最終セッション”(弊社サービスの呼称)を必ず行っている。これにより、効果を生む施策が他部署に展開される事例を多数見てきた。

 今は、個別のビジネスに多くの負荷がかかる分、他部署の経験が思いのほか共有されていないのである。研修が成果を生むとはこのことをいうのである。ぜひお勧めしたい。