CHO(CHRO)にとって自己研鑽と人材育成は表裏一体

――人事やマネジャー層に取材すると「次世代リーダー育成」を課題に感じている人は非常に多くいます。

須東:そうだと思います。人事やマネジャー自身も人を育てるとともに自己研鑽をしていくことが大切です。「成長したい」と思う人はフィードバックを受けることが大好きです。そういう人は自ら心を開いて、下から相手に接することが多い。部下に対しても、自分が上司であるという側面を見せません。デベロップメント文化が実現できている組織では、上になる人は相手の話をよく聞き、必ず具体的なフィードバックをしています。そのためには言いたいことが言い合える職場、風土になっていることが重要です。

――残念ながら、そうした風土がない組織も多々あります。須東さんが組織内で力を発揮しきれていない人を支援する団体を立ち上げられたのはその文化を改革していくためですね。

須東:はい、一定の尺度でしか評価されない環境で自分の特性が理解されていない人、新卒入社後に一律的に特定職種に配属されて能力を生かしきれずにいる人もいます。職場の中で存在感が出せず、発言できない人もいます。自由に発言し合える組織文化であれば自然にそんな状況ではなくなり、結果的に能力を発揮できるようになるはずです。

 ダニエル・キム氏の提唱する「成功循環モデル」にもありますが、人と人との関係の質を変えることが思考を変え、行動を変え、そして結果の質を変えていきます。従来は数字を上げられる人、結果を出せる人にまず注目が集まっていました。もちろんそれは重要ですが、近年では「人に関心があること」がリーダーの資質として重視されてきています。各現場リーダーがメンバーに関心を持ち、一人ひとりの能力を高めることに熱意をもち、そして誰でも発言・発信できる組織文化を定着させることが、組織におけるCHOが目指すものではないでしょうか。

原田かおり(はらだ かおり) 日経BP 総合研究所 HR事業部 ヒューマンキャピタルOnline編集長
原田かおり

出版社を経て、2000年 日経BP社入社。カスタム出版やオウンドメディアのプロデュースを数多く手掛ける。ゴールドクレジットカード会員誌『クオリテ』(東急カード)、Webマガジン『大人の心得帳』(NTT東日本フレッツ光/東急文化村)など編集長として企業機関誌やオウンドメディアの創刊・リニューアルを多数経験。2018年2月、「社内コミュニケーション改革セミナー」全体プロデュース・講演。2019年5月、「CHOsummit2019」全体プロデュース・講演、ヒューマンキャピタル2019「働きやすい組織と環境の新しいカタチパネルディスカッション」モデレーターなど務める。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。