コロナ禍によるテレワーク移行やコスト削減で、スタートアップなどがオフィスの賃貸契約を解約する動きも出始めている。一方、2020年のオフィス供給量は03年に次ぐ高水準となる見込み。直近の空室率は低水準だが、先行きは不透明だ。withコロナ時代のオフィススペースのあり方と働き方はどうあるべきか。その解を総合デベロッパー大手、東急不動産の取り組みから考えてみよう。

 同社は2019年8月に本社を南青山から渋谷・道玄坂に移転。自社オフィスを舞台に、働き方改革を加速するスマートオフィス実証実験を開始した。これに先立ち同年5月に、組織風土改革を目的として、社員誰もが自由に参加できる「GREEN FLAG PROJECT(以下GFP)」をスタート。この活動でいち早く全社員のスケジュールの共有化、テレワークの手引きを制作。結果的に新型コロナ対策にもつながった。GFP発足時からメンバーとして関わってきた人事部・人事企画グループの伊藤陸氏に話を聞いた。

新オフィスでは在籍人数の最大50%まで執務席を削減。従業員の位置情報を把握するスマートオフィスアプリを活用し、オフィス内の行動傾向や会議室の利用頻度などを可視化。蓄積したデータを分析し、効率的にスペースを活用したワークプレイス提案に取り組む(出所:東急不動産、2019年撮影)

「みんな違う。やってみよう!いってみよう!」がモットー

――伊藤さんは今、人事部で働き方改革に取り組んでいますが、その前は事業ユニットにいたのですね。

伊藤 陸氏(以下、敬称略):はい。新卒で入社した後7年間は住宅開発部門で、マンションや新しいタイプの学生寮である学生レジデンスの開発に携わりました。新規事業の学生レジデンスでは、立ち上げから軌道に乗るまでを担当し、業界のフロントランナーに至るまで事業を拡大してきました。「新しいエリアでも、学生レジデンスをやってみよう!」と次々と実現できる貴重な経験ができました。一方で、この会社で自分が働き続けていくために、生き生き働ける環境が続いてほしい、いや、皆がもっとそう思える環境にしたいという思いが湧いてきました。不動産事業の変化は、生き方・働き方の変化でもあります。働き方改革の流れの中で、「今、人事が熱い!」と考えて異動を希望しました。2019年4月に異動して2年目を迎えます。

東急不動産 人事部人事企画グループ 主任 伊藤 陸氏(撮影:川田雅宏)