wevoxはチームのアシスタント的な存在

――現在、300万件以上のスコアデータが集まっていると伺いました。この膨大なデータにAIを活用していく試みを始めるそうですね。

森山:はい。wevoxでは、どのタイミングでどんな質問が届くのかは個人ごとに異なりますが、ベースとなる質問内容は全ユーザー共通しているので、業界や属性での傾向がさらにきめ細かく分かるようになります。その結果、適切なタイミングで適切な質問ができるようになるのです。例えば「30代」の「男性」の場合、どれくらいの期間で「人間関係」に関するエンゲージメントが変化するかを、AIが学習し、モデル化するので回答する個人へ常に適切な質問が届くようになり、回答率が下がらなくなることがメリットです。

 次に、得られたスコアをもとに、どの項目から改善に取り組んでいくべきかというサジェスチョンができるようになります。例えば、「支援」というスコアが低かったとします。この場合、上司の支援行動が少ないことが問題なのではなく、そもそも上司と部下の信頼関係が薄く、部下が「この上司に支援されたくない」と思っていることがスコアに現れたのかもしれません。AIによって職場のあらゆるデータが蓄積され、AIが分析・学習していけば、「1on1などの施策を行う前に、まず上司と部下の人間関係の改善から始めよう」と提案できるようになるかもしれません。

 そして、現在は一覧で見られる他社の改善事例も、より最適なものが提示できるでしょう。ただ、どの改善策から取り組むかはチーム全員で話し合うことが大切だと考えています。エンゲージメント向上のためのアクションで効果を出すには、自分たちで決めたという意識を持つことが欠かせません。何をやるかではなく、どうやるかが大切です。

――お話しを伺っていると、会社だけでなく、さまざまな組織でのエンゲージメント向上にも応用できるようですね。例えば、教育現場があげられるでしょうか。

森山:はい、その通りです。実は、箱根駅伝4連覇している青山学院大学陸上競技部にも、wevoxを試験的に使っていただきました。ビジネスパーソンだけでなく、教育分野での部活動やスポーツ分野の方々にもエンゲージメントという概念を知ってほしい。そして、高いパフォーマンスを上げているチームのエンゲージメントを可視化できれば、日本のあらゆる組織作りのヒントにできるのとも考えています。

 wevoxは、メンバーが楽しく、いきいきと働けるチーム作りをサポートするアシスタントです。組織で楽しく働くこと、ひととひとの繋がりを作るだけでなく、その繋がりをより良くしていく思想を知ってもらい、新たな価値提供につなげていきたいですね。

原田かおり(はらだ かおり) 日経BP 総合研究所 HR事業部 ヒューマンキャピタルOnline編集長
原田かおり

出版社を経て、2000年 日経BP社入社。カスタム出版やオウンドメディアのプロデュースを数多く手掛ける。ゴールドクレジットカード会員誌『クオリテ』(東急カード)、Webマガジン『大人の心得帳』(NTT東日本フレッツ光/東急文化村)など編集長として企業機関誌やオウンドメディアの創刊・リニューアルを多数経験。2018年2月、「社内コミュニケーション改革セミナー」全体プロデュース・講演。2019年5月、「CHOsummit2019」全体プロデュース・講演、ヒューマンキャピタル2019「働きやすい組織と環境の新しいカタチパネルディスカッション」モデレーターなど務める。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。