「50代女性たちが管理職へと積極的に手を挙げはじめている」――こうした動きが出てきたのが日本初の生命保険会社として知られる明治安田生命保険相互会社だ。同社は2012年にダイバーシティ推進部署を設置、2020年の女性管理職比率30%を目標に女性育成支援に取り組んでいる(19年4月時点24.4%)。並行して16年に、大手生保で初めて全職員の定年延長を決定。今年4月、定年年齢を60歳から65歳へ引き上げたこともあり、女性管理職登用候補者育成・支援制度(L-NEXT)に応募する50代女性職員が急増したという。この施策と成果は、定年制延長や再雇用制度のあり方に試行錯誤している企業へのヒントになるのではないか。同社人事部ダイバーシティ推進室に聞いた。
(※)相互会社では、一般的な「社員」を「職員」と呼称する。

「ロールモデルは、社内に必ずいる」

 同社は国内約1000拠点を擁し、約4万1000人(うち営業職員「MYライフプランアドバイザー」約3万1000人)の9割が女性、内勤職員(約1万人)の約6割を女性が占める。女性の職種については、15年に職種の再編・統合を段階的に実施し、17年にいわゆる一般職に相当するアソシエイト職を廃止。総合職(全国型/地域型があり、転居を伴う転勤の有無だけ異なる)へと再編した。

 同社の女性活躍支援で目を引くのは、18年に立ち上げた「女性サポート・ネットワーク」(JSN)だ。家庭と仕事の両立、キャリア形成についての悩みを先輩職員に相談できる自然体のネットワークである。

 「特に地方の拠点から、『自分の職場にロールモデルとなる女性がいない』という声が多く寄せられました。地方に勤務する女性は男性に比べて異動が少ないという事情もあります。JSNを立ち上げることで、人事部に相談しにくいことも、JSNに登録するサポーター(先輩職員)に相談できるようにしました」と職員研修グループ主任スタッフの宇田川 萌氏は話す。

 イントラネットで、サポーター一人ひとりがどのような経歴を持っているか、どのような制度を活用してきたかを全職員が見ることができる。「たとえその拠点にいなくとも、隣の県にはいるかもしれない。会社の中には必ずロールモデルがいるということを皆に知らせたかったのです」と室長の長谷川誓子氏も話す。19年度は女性管理職登用候補者育成・支援制度のL-NEXT1(後述)を卒業して管理職に登用された女性職員を中心に19人がサポーターに登録している。

左から、人事部ダイバーシティ推進室職員研修グループ主任スタッフ 宇田川 萌氏。人事部ダイバーシティ推進室室長 長谷川誓子氏。人事部ダイバーシティ推進室主席スタッフ 村上治也氏(撮影:加々美義人)