自律性・主体性重視の組織運営

松丘:グローバルIT企業のどのような点に注目されているのですか?

喜多:特に人事施策が進んでいると言われる企業を見ると、社員が自律的に仕事をしていますし、それができる環境が揃っています。我々もそこを目指しています。これまでの組織運営は、どちらかというと会社全体としての目標を達成するために、ピラミッド型の組織としての統制を重視する考え方でした。しかし、時流としてはむしろ社員一人ひとりが主体性を持ち、自らが組織に必要なことを考えて判断し、それを成し遂げることによって貢献していく流れに変わっています。実際にそのような人事施策を行っている企業の競争力が高まっています。我々もそのような方向を目指すことが、会社としてのさらなる強みになると考えました。

キャリアコースと等級の廃止

松丘:とは言っても、これまで上からの指示に従っていた人に、主体性を持ってほしいと言ってもすぐには変われないですよね。

喜多:従来は会社として、求める人材像を社員に提示していました。複数のキャリアコースがあり、キャリアコース別に等級が設けられ、スキル標準が設定されていました。その等級に応じたスキルが身に付いているか否かが、その人の評価や報酬のベースとなっていました。しかし、それは会社側が求める人材像であって、本人の特性と必ずしも一致しているとは限りません。そのことが弱みになってしまっている可能性があると考え、キャリアコースと等級およびスキル標準を廃止しました。社員が主体的に自分たちのキャリアや、会社にどのような形で貢献できるかを考えて動ける組織にする必要があると考えたからです。

OKRと1on1の導入

松丘:等級まで廃止するというのは大胆な打ち手ですが、主体性を発揮してほしいというメッセージの本気度が伝わりますね。

喜多:会社が求める人材像をなくした代わりに、OKRを導入し、会社やチームの目指す目標に向けて社員が主体的にゴール設定を行うことにしました。自分が策定したOKRに対し、どのような形で会社に貢献し、その中で自分がどのように成長したいのかを、自分で考えて行動するように変えました。会社が求める人材像といった羅針盤がないため、社員は自分の作成したOKRが適切なのかという迷いや課題に直面すると思われます。それを上司と部下が一緒になって解決していくための施策として1on1を導入しました。

バリューの見直しと360度アセスメントの実施

松丘:評価制度についてはどのような見直しが行われましたか?

喜多:当社には全社員が共有する価値観としてSIOS Valuesという行動指針がありましたが、より分かりやすくするためにSIOS Values 2.0へ改定しました。評価制度については、新たに360度アセスメントを導入しました。キャリアコースと等級を全廃しましたので、どのように会社やチームに貢献しているのかを測る方法として、社員がお互いに評価し合う仕組みを構築しました。また、「自分はこのような貢献をしたので、この程度の報酬に値する」と報酬を自己申告できるようにしました。その妥当性を360度アセスメントのアセッサーが見ていきます。