ITの活用

松丘:IT企業の御社は、この変革においてITをどのように活用されているのでしょうか?

喜多:あらゆる領域で活用していますが、特にOKR、1on1は重要ですよね。すべてのOKRを社員一人ひとりが見ることができ、各々のOKRのつながりも簡単に分かることが実現できなければなりませんから、その「見える化」が大変重要だと思います。しかも皆、時間に追われて仕事をしていますから、簡単にできなければ意味がありません。

プロジェクト型組織への移行

松丘:現在、360度アセスメント実施まで来たところだと思いますが、今後、新たな計画はありますか?

喜多:今年の4月1日には大きな組織変更を予定しています。現在は事業部制で縦割り組織ですが、それをサービスライン(プロジェクト)とセンター オブ エクセレンス(機能)という形で運営しようというものです。これまでは異なる事業部の仕事はできなかったため、「隣のチームは何をやっているのか分からない」という状況でしたが、これからは社内の様々なプロジェクトから社員が自分たちでどのプロジェクトを選んでもよい、しかも複数選んでもよいという選択制に変わります。同時に権限移譲をさらに進め、役員はサービスラインへの助言は行うが、意思決定には関わらないという位置づけにします。

研修と社内コミュニケーション

松丘:このように大きな人事・組織施策の改革について、社員の方とどのようにコミュニケーションをされているのでしょうか?

喜多:各社社員が四半期に一度集まる社員集会で説明を行い、資料はイントラネットで公開しています。OKR、1on1、360度アセスメントに関しては、全社員を対象にした研修を実施しました。全員の意見を毎回、一人ひとり聞くことはできませんが、当社はアンケート文化が根付いていることもあり、頻繁にアンケートを実施しています。さらに、どこが良くてどこが良くなかったかが明確になるように、質問内容には工夫を加え、アンケートの結果は毎回精査しています。辛辣な意見も出てきますが、多様な考えに耳を傾けることを心掛けています。

松丘:この取り組みによって、御社がますます素晴らしい会社に進化していくことを期待しています。本日は貴重なお話をありがとうございました。

松丘 啓司(まつおか・けいじ) 株式会社アジャイルHR 代表取締役
松丘 啓司

 1986年東京大学法学部卒業後、アクセンチュア入社。同社のヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナーを経て、2005年に企業の人材・組織モデル革新を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立。同社ではパフォーマンスマネジメント、ダイバーシティ&インクルージョンなどの領域を中心にサービスを提供。2018年にパフォーマンスマネジメントに特化した株式会社アジャイルHRを設立し代表取締役に就任。主な著書として、『1on1マネジメント』『人事評価はもういらない』『論理思考は万能ではない』『アイデアが湧きだすコミュニケーション』『ストーリーで学ぶ 営業の極意』『提案営業の進め方』『組織営業力』などがある。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。