本連載では1on1を導入している企業とのインタビュー対談を全6回でお届けします。各社における1on1の導入の背景、導入・運営にあたってのポイント、ITツールの活用方法、導入後の効果など、1on1に関するトピックスを中心に実際の事例についてのお話を伺っていきたいと思います。
トレンドマイクロ株式会社 小木曾光倫氏(右):日本電子計算株式会社 名古屋支店入社。自治体向け総合行政システムの導入/運用/保守に従事。1997年、トレンドマイクロ株式会社 入社。一貫してエンジニア系の職種に従事してきたが、キャリアを振り返るなかで新しい領域にチャレンジを開始、現在人事(4年目)。
HRBPとテクノロジー推進の大きく2つの役割を担当。テクノロジーに関してはデータドリブンのカルチャーを社内に醸成するために様々な仕組みを取り入れている。

松丘:最初に御社がどういう会社か、特徴を教えていただけますか?

小木曾氏(以下、敬称略):トレンドマイクロは、日本発の多国籍企業で、世界30カ所以上にオフィスを構え、グローバルにセキュリティソリューションを提供しています。

 「単に報酬のためではなく、いい仕事をしたい」「自らの力によって、キャリアを築く」というキャリア自律(“Be Yourself”)の考えに共感する人材の集団です。“Be Yourself”は創業者スティーブ・チャンの座右の銘でもあり、この考えから、当社にはキャリアパスは存在していないので、何がしたくてここへきて、将来、何をやるかは基本的には自分で決断してください、とメッセージしていて、自身で決めることにより納得度の醸成をしています。

 また、世界中の拠点からベストプラクティスを共有して、日々のビジネスに取り入れてお客様に価値を提供するということが自然に行われ、オフィス間での異動はもちろん再入社も多かったり、副業も盛んだったりと、“Be Yourself”に共感できる人には非常に働きやすい会社だと思います。

松丘:“Be Yourself”という価値観が共有されていて社員が自律的ならば、1on1に取り組みやすそうですね。御社においては、元々、自律的な人が入社してきているのでしょうか?

小木曾:当社では、採用時にカルチャーフィットに重きを置いていて、特に主体性や自律性にこだわっています。なので、やりたいことやパッションがない人は基本的に採用していません。また、創業者発案の「トレンドラーニングサークル」というトレーニングプログラムがあり、社員は定期的に受けないといけないので、そういったこともカルチャーの浸透に役立っています。

松丘:御社の評価システムについても教えていただけますか?

小木曾:パフォーマンスではなくコントリビューション、つまり結果を出すよりもチームに貢献することが評価につながっているというのが大きな特徴です。そのためには、未来志向で物事を考えて、何をすれば評価されるのかという目標設定を、いろんな人と対話しながら決めていく必要があります。ですから、上司と部下や横のつながりに信頼関係があり、何でも話せる関係が重要と考えています。それには1on1が効果的なので、創業者のスティーブ・チャンが2000年以前から1on1を導入し、すでに習慣化されています。