松丘:1on1のねらいや目的はいろいろあると思いますが、何を中心に考えられていますか?

田中:当初はねらいや目的は特に定めずに、自社でも1on1を実践してみようという所から始めました。拠り所として1on1naviの3つの項目(誇れること・気づき・次へのアクション)を活用し、話を引き出すことを心がけて実施しました。すると、「誇れること」を通じて相互理解が深まり、「気づき」が学習の機会となり、「次へのアクション」を通じて個人の考えと会社の方向性との整合性を取る場とすることができました。

 最近では個人と会社のOKR(Objectives and Key Results:目標設定の手法)をシステム的にひもづけるという運用を通じ、個人目標とその進捗状況を基軸とした1on1を実施しています。3つの項目は変わらず拠り所としています。これまでは目標を立てて四半期ごとにレビューするまでの中間のケアがあまりできていなかったんですが、OKRに対してどのような思いを持って、どういう状況で行動をしていくかを話してもらっています。

松丘:「誇れること」に何を書いてよいのか分からない、と言われることがよくありますがいかがですか?

田中:同じことは感じていて、最初からぱっと出てくるメンバーとなかなか出てこないメンバーがいます。出てこないメンバーは自信が持つことができていないケースがあるので、こちらから、こういうことしていたよね、以前と比べて前進したよね、と話を振って引き出しています。そうすることで、各人で段階の幅は違いますが、少しでも前進していると実感することができ、成長や貢献を1on1の度に確認できていると思います。

松丘:OKRの設定は、最初は難しいと思いますが、どのように浸透させているのでしょうか?

田中:まず会社の目標をバリューチェーンごとに立てて、そこに個人の目標をひもづけてほしいという話をしています。この個人目標と会社目標がつながるよねと、アドバイスしています。週次の全体会で、会社全体の前週の振り返りや今週の予定を共有するので、そこで1on1naviを使っています。実際にOKRの画面を見せて、進捗やアクションプランを共有したりしています。

 あとは、各人が立てた目標やアクションプランに対してアクション完了メモのようなものをコメント欄に入力しているメンバーもいます。任意なので全員ではないですが、自分自身でしたことを記録しておきたいというメンバーは活用しています。

松丘:チームで目標や進捗を共有することによって、何か変化は起きたりしていますか?

田中:個人と会社の一体感、つまりエンゲージメントは上がってきていると感じます。1on1naviを使う前も個人の四半期目標は立ててもらっていたのですが、言わば「神棚に飾ったまま」で、3カ月後の振り返り時に神棚から降ろしてきて、立てた目標を思い出すという状況だったのかなと。1on1naviを活用することで、週次サイクルで会社目標やその進捗と個人目標やその進捗との関連が明確になります。さらにスマホで随時見ることもできるので、チームの一員として「つながっている」「貢献している」という感覚は、以前より強まっているのではと思います。