松丘:今後、もっとこうしていきたいという点はありますか?

田中:会社の目標との整合性を意識しながら、自律的に個人が目標を立て、週次なり月次なりで振り返ってPDCAを回す、というのが理想だと考えています。進捗の30%って何だ、という共通認識ができて、進捗管理がゲーム感覚になるとすごくいいなと思っていますね。1on1naviはあくまでも、自律的に意識と行動を変えていくツールだと思っているので、今のところ細かいガイドラインはありません。一人ひとりのセルフマネジメント力を高めることが、いちばん重視していることですし、少しずつではありますが高まってきていると思います。

松丘:最後になりますが、1on1をやってみての感想を教えてください。

田中:通常業務の中で社員と密に対話もできていたつもりだったので、1on1なんて必要ないのでは?と思っていました。始めてみたら全然違って、すごくよかったです。通常業務ではプライベートなことを共有する風土はそれほどないのですが、1on1の時間では、一言でも体調のことを気に掛けたり、プライベートな内容の対話を習慣づけることで、社員間の相互理解の深まりを実感しています。

 業務に関しても、会社全体の成果における個人の貢献や、次へのアクションなどに関する対話を通し、会社の目標やミッションの実現に向かって個人と会社が一体感を持って進んでいくという雰囲気が出てきています。1on1のために話す内容を準備してくる社員も準備してこない社員もいますが、特に問題として捉えていません。1on1の終盤の時間は仕事の打ち合わせのようになることもありますが、創意工夫や価値創造を生み出す対話となるので、とても意味のある時間だと感じています。

松丘:1on1の意義が分かる深いお話だったと思います。本日はありがとうございました。

松丘 啓司(まつおか・けいじ) 株式会社アジャイルHR 代表取締役
松丘 啓司

 1986年東京大学法学部卒業後、アクセンチュア入社。同社のヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナーを経て、2005年に企業の人材・組織モデル革新を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立。同社ではパフォーマンスマネジメント、ダイバーシティ&インクルージョンなどの領域を中心にサービスを提供。2018年にパフォーマンスマネジメントに特化した株式会社アジャイルHRを設立し代表取締役に就任。主な著書として、『1on1マネジメント』『人事評価はもういらない』『論理思考は万能ではない』『アイデアが湧きだすコミュニケーション』『ストーリーで学ぶ 営業の極意』『提案営業の進め方』『組織営業力』などがある。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。