すでに人手不足が顕著になりつつある日本。AIやRPAなどのテクノロジー活用を進めても、「人」にしかできない仕事は残る。人間らしく働くとはどういうことなのかが、再び問われている。欧米で2020年のHR分野トップキーワードに上がっているのが「Employee Experience(従業員体験)」だ。これから企業の中核を担うミレニアル世代に重要となるキーワードに焦点を当てた。
(写真:123RF)

「従業員体験」が顧客体験や企業利益を上げる

 2020年、欧米でHR分野の重要キーワードの一つと言われているのが「Employee Experience(従業員体験)」(以下EX)だ。従業員がその会社で働くことで得られる体験のことを指す。それは仕事内容自体だけでなく、会社の福利厚生や職場環境、人間関係なども含めた「体験」だ。このEXの質を高めることで従業員の仕事へのコミットメント、つまり「Employee Engagement(従業員のエンゲージメント)」も高まり、結果的に企業の利益と持続力向上へとつながる。

 すでに「Customer Experience(顧客体験)」(以下CX)や「User Experience(利用者体験)」(以下UX)の質を上げることがビジネスの勝因となることは認知されている。こうしたCXやUXを上げるにも、まず自社内のEXを上げることが重要だと、近年見直されてきた。企業全体のカルチャーを改革し、従業員のパフォーマンスを向上させるためにも、人事部こそがEXをコントロールする時代が到来しつつあるといえるだろう。

EXが世界最下位レベルの日本

 グローバルでのEX認知度を見てみよう。下図のように、取り組みの高さが色の濃さに現れている。最も高いのがインドの84%、最も低いのがハンガリーの49%だ。ヨーロッパ全体では65%程度とそう高くはないが、ノルウェーの74%など高い国も多い。気になる日本は51%とアジアパシフィック全体平均の70%を大きく下回り、前述のインド、そして83%のフィリピンなどから大きく離されており、世界でも最下位レベルにある。
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出所:“IBM Smarter Workforce Institute”(IBM 2016)
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