グループごとに社内SNSで意見交換をしたり、勉強会やイベントを主催したりと、その活動内容は様々だ。従来のように従業員側が働きやすさを求めて企業と戦うのではなく、自分たちで働きやすい環境や整備を考え、それを会社の価値として提案・活動していくという、対立よりも調和型の活動だと言えるだろう。企業側もそれに対して、一定の資金や場所の提供、さらに具体的な行動をサポートするためにマネジメント層の人材を各グループに配置する。このマネジメント層による支援者は、そのグループの当事者である必要はない。それどころか、当事者でない方が客観的に活動の有用性や実効性を見てアドバイスできるとしている企業も多いようだ。

 もう一つのキーワードとなるのが「Ally(アライ)」だ。アライとは、「支援者」のこと。当事者ではないが、その人たちを支援する人を指す。例えば「LGBT&Allies」といったように多くの企業のERGでは、当事者とアライが一緒のグループとなることで、さらに包括的な活動へと広げることを推奨している。例えば女性活躍推進のグループに、もちろん男性が加わってよいし、そのグループの支援者が男性管理職ということもしばしばある。

 そして、ERGに所属していてもいなくても、アライとしてどんな理解や行動が求められるかという「Ally Skill Workshop」が人気のワークショップとなってきているのも、欧米でのD&Iの浸透を感じさせる。

日本独自のERGのカタチ

 まだ日本企業では耳慣れないERGではあるが、すでに取り組みはじめている企業がある。みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)だ。日本全国47都道府県すべてに支店を持ち、世界に約120拠点を展開するみずほFGは、1999年8月の3行統合発表を経て、約8万人いる社員を抱えるグローバル企業となったが、一方で悩みも抱えていた。

 みずほFGでD&Iに取り組む、みずほフィナンシャルグループ ダイバーシティ・インクルージョン推進室長の犬塚麻由香氏はこう話す。

 「外資系企業の日本支社などからERGという言葉が聞こえはじめたのが、2016年頃。ちょうど私がこの職に着任した年でした。みずほFGが初めて経営戦略にD&Iを組み込み、本格的に会社として取り組みはじめた年です。金融機関は今、従来型のビジネスから脱却する新しいビジネスモデルや付加価値を生み出すための取り組みを進めています。社内でも不安を抱えた社員が多くいました。イノベーションを興す企業になっていくには、組織の多様性とそれを生かしていくことは不可欠。よく見ると社内には様々な視点や特性を持った人材が多くいるのに、日常業務以外での『横・斜めのつながり』が足りていないことを感じていました。多様性はあるのに、それを生かせていない。多様な一人ひとりの集合体として会社があるのだという思いを一つにするために、一人ひとりの意識と行動が変わらないといけないと考えた時、ERGが必要だと思ったのです」

みずほフィナンシャルグループ ダイバーシティ・インクルージョン推進室長
犬塚麻由香氏
1999年にみずほ銀行に入社し、法人RMに従事。2004年には国際協力銀行に出向し中南米向け日本企業輸出支援に携わる。2006年にグローバルトレードファイナンス営業部に異動、2011年からはシンガポールで勤務。その間、2度の出産・育休を経験。2016年から現職。(写真:みずほFG提供)