ERGに不可欠なのは黒子役の人事サポート

 一方、ERGが社員主導の活動とはいえ、完全に手放しで見ているだけでは、しっかりと自走し続けるステージに至るのは難しい。働く人の同質性が高い日本企業の組織で、少数派が声を上げる活動の必要性を理解してもらうには、「動くことで良い方向に変わっていく」という実感が得られることが必要だ。

 みずほFGのケースでは、犬塚氏をはじめとするダイバーシティ推進室チームが縁の下の力持ち的な役割をしてきたことは大きい。業務外であるERG活動に理解があまりない管理職への説明を個別に行ったり、グループに合った外部団体に紹介や引き合わせをしたり、グループリーダーに社外のマネジメント研修の機会を与えるなど、バックアップを続けてきた。そうした甲斐もあり、今年11月には1カ月間、「M-DIM(Mizuho D&I Month)」として初のERGと協働したD&I強化月間を実施する。11月1日、みずほFGの国内全拠点をライブ中継でつなぎ、みずほFGの坂井辰史グループCEOと社員とが直接対話するイベントからスタートする予定だ。

 欧米では、投資家やクライアント企業が相手企業のERG活動を見てから、信頼するに値するか見極めるケースも増えてきている。また、働く側も転職や就職活動の際に、対象企業のERGについて調べるというほど、ERGは欧米企業の生き残り策となっている。

 とはいえ、まだ新卒一斉採用と長期雇用制度による同質性の高い日本企業では、日本なりのERGの進め方があるのかもしれない。欧米のERGでは配置することが多いマネジメント層の支援者も、みずほFGの例では「上の人をつけることでせっかくやる気になっている社員を萎縮させたくない」(犬塚氏)と配置していないという。まず実績を作り、社内の理解を広げ、職場の階層や年齢にとらわれずに発言できる土壌を作っていくことがスタートではないだろうか。

岩辺みどり(いわなべ・みどり) フリーランスエディター&ライター
岩辺みどり

一橋大学法学部卒、社会学修士課程修了。豪、米、英に留学し、社会学やジャーナリズムを学ぶ。日経BP(旧日経ホーム出版社)に入社後、日経TRENDY、日経WOMANなどの雑誌記者として経験を積み、独立。多様な社会のあり方をテーマにビジネスから教育、子育てまで幅広く取材・執筆する。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。