次に「変わったこと」とは

 「変わらぬこと」という本質を押さえたうえで、グローバル人材育成に関する「変わったこと」は、テクノロジーの進化とアダプティブ・ラーニングの2つだと考えます。

 テクノロジーが進化することによって、ラーニング全般に多くの変化がもたらされました。分かりやすい例は、Skype英会話。フィリピンのセブ島にいるビジネス英会話の先生と毎朝25分のトレーニングを日本にいながら行っても、毎月5,000~20,000円の低コストで済みます。20年前には考えられなかったことが現実となりました。

 また、賢い方法を学ぶには、MOOCsやYouTubeを活用することが効率的です。ビジネスにおける共通言語となりやすい英語を例に取ると、ネイティブ話者は2割弱で、ノン・ネイティブ話者は8割強との調査データもあります。「英語」のノン・ネイティブ話者の力を高めるための賢い方法(コンテンツ)は世界中に無料で転がっているのです。世界をほぼ無料でつなげることを実現したインターネットの威力を、もっともっと自社のグローバル人材育成に取り入れることを検討してみてください。

 そして2つ目のアダプティブ・ラーニングとはいわゆる適応学習のことです。学習者一人ひとりの学習進行度や理解度に応じて学習内容や学習レベルを調整して提供する仕組みのことです。

 例えば、20年前は誰もスマートフォンを持ってはいなかった。でも、今ではほぼすべてのビジネスパーソンがスマホを持っている。だったら、スマホを起点として、個人のライフスタイルやビジネススタイルに合った形でラーニングしようということです。これは、かなり本質的な流れだと思います。

 自分の「グローバル実践力」を高めるために、この力を分解して、「今はリスニング力を高めたいのでこのアプリを活用してみる」、「まさにネゴシエーション力を高めたいので、このMOOCsで学んでみたい!」など、受講者のニーズを起点としてアダプティブ・ラーニングを提供することが可能になっています。

まとめると

 グローバル人材育成を私の30年近い日本在住歴と重ね合わせながらお伝えしてきました。簡潔にまとめると……

 目的設定については不動。

 「国籍や文化の違いを超えて、外国人と上手にビジネスを進める能力を高める」

 その「目的達成アプローチ」については、

 「最新のテクノロジーなど外部資源を上手に活用しよう」

 この2つとなります。

 このようなアプローチで、他の会社がどのような成果を生み出したのかは、ネット検索や無料セミナーに参加することで、情報を集めていただくと、予感が確信に変わっていくと思います。

ジェイソン・ダーキー(Jason Durkee)(じぇいそん・だーきー) アイディア社(IDEA DEVELOPMENT株式会社)
代表取締役
ジェイソン・ダーキー(Jason Durkee)

米国シアトル出身。1992年に来日し上智大学卒業。
卒業後、研修企画会社に勤務し、研修プログラム開発、講師、教務、営業など、研修会社におけるすべての業務を担当する。
2003年に企業向け教育研修会社アイディア社(IDEA DEVELOPMENT株式会社)を設立。現在は、人材育成のコンサルタント、教育プログラムのデザイナー、研修のインストラクターとして、幅広い業種の企業向けに人材育成サービスを提供している。
主な著書:
無理なく続く英語学習法(日本実業出版社)
ガツンと言える英会話(ジャパンタイムズ)
ビジネス英語の技術(ジャパンタイムズ)

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。