経営層の判断が極めてドライであることは、人材育成の本質に関わる方であれば、リアルに感じておられることと思います。

 すべての経営判断は、ROIの大小で判断されています。これが現実です。その投資に見合う、リターンは確実に得られるのか? そうとは思えないのか?

 「人材」という無形資産や資源の開発に携わっている私たちにとって、人材育成投資こそが最大のROIを生み出すことを、経営層に説得力を持って訴え続ける責務があると考えます。

 そこで「研修なんてやったところで……」という先入観を打破する、4つのコツをこれからご紹介していきます。

 それを逆説的に説明しようとすると、以下のような4つの前提が考えられます。

1. 受講者ではなく……
2. 1日拘束型の研修ではなく……
3. 教え込む内容よりも……
4. 受講直後のアンケートよりも……

1. 受講者ではなく……

 研修成果を生み出したい人材育成担当者がフォーカスするべき対象は、実は、受講者本人ではなく、その受講者の上司なのです。

 今まで、受講者の上司へのケアはどの程度行ってきたでしょうか。

 受講者の上司に対して、
・部下が忙しい日常業務を抜けて研修を受講してもらう意義
・研修を受講した後のインパクトを最大化する
・研修受講後の部下に対する業務アサイン
などを、確実に伝えることができていますか。

 こうした要素を丁寧に伝え、受講者の上司を「仲間に引き入れる」ことで、研修効果を劇的に高めることができるのです。

2. 1日拘束型の研修ではなく……

 働き方改革などの影響により、1日研修に受講者を集めにくくなったという企業は多数あります。

 講師の講演を、時には5時間以上も聞かなくてはならないスタイルの研修では、大量のインプットに頭がオーバーフローしてしまうことは、脳科学分野の研究結果でも実証されています。

 ここで強調したいことは、大切なインプットこそは、「3分以内にまとめよ!」ということです。例えば、1イシューであれば、10秒程度のYoutube映像だけで伝えることもできます。

 従来は数年間かけて実践を通じて学んできた本物のノウハウを速習する仕組みが、若い世代には求められています。

 インプットすべき内容は、1分から最大でも5分以内にまとめることを強くお勧めします。ITを活用すれば、効果的な伝え方が何なりとできるのですから。

 逆に、もしラーニングにITを活用できていないとするなら、グローバルな観点では「遅れている企業」と認識されるリスクがあります。