グローバルのIT企業として日本でも30年以上の歴史を持つ日本オラクル。競争と変革の激しいIT業界にあって年間の平均労働時間1,700時間台を実現し、女性の活躍推進を積極的に進める企業に与えられる「えるぼし」の最高位も取得している。働きやすさと働きがいの両立を可能にする人材育成のポリシーについて、執行役員で人事本部長の遠藤有紀子氏に聞いた。
(取材=麓幸子:日経BP社 執行役員、文=谷口絵美)

ビジネスの変革を推進できる人材が目標、女性に欠けがちな「健全な野心」も育てる

――日本オラクルは女性管理職比率が約15%と高く、また平均勤続年数も男女差がほとんどありません。女性活躍推進法で最高位である「えるぼし三つ星」を獲得するなど女性活躍の先進企業ですが、その特徴はどんな点にあるのでしょうか。

遠藤本部長(以下、遠藤):「特別扱いしないこと」だと思います。グローバルのオラクル・コーポレーション全体が、もともとダイバーシティやインクルージョンということについてオープンな組織です。人材はすべて同じで大事にすべきものという認識のなかで、登用や育成をしていく仕組みがあります。そのなかに女性の活躍もあるという位置づけです。

 KPIも明確には設定していませんが、取り組みを推進しているリーダーのなかで「大体このくらい」という目安はありますし、政府が掲げている「202030」とも同期していきたいと思っています。あらゆる人材の能力を見極めるなかで女性の活躍を促すということでは、比較的順調に推移しています。

――日本オラクルの女性活躍の目指すべき姿というのはどんなものでしょうか。また、そのためにどんな取り組みを行っているのでしょうか。

遠藤:社員すべてにいえることですが、ビジネスの変革を責任を持って推進していく人を育てるということです。特に、当社はかつてデータベースで知られた会社でしたが、ここ4~5年はクラウドビジネスへと急速に事業領域を拡大しています。そのなかでいかに活躍してもらうか。

 取り組みとしては、タレントビューという人材を見極めるプロセスがあります。全社員を「タレント」と呼び、将来管理職や役員になる人、営業やコンサルタントといった専門職を極める人というように、一人ひとりのキャリアの方向性を考えていきます。

遠藤有紀子氏
大学卒業後、バンク・オブ・アメリカ東京支店へ入行。1993年日本ゼネラル・エレクトリック(GE)に入社。企画開発部を経て人事部に配属。その後は一貫して人事プロフェッショナルとして、GEキャピタル・コンシューマーファインナンスやGEエジソン生命で活躍。2004年にIT業界へと身を転じ、日本ピープルソフト HRディレクターとしてマネジメントに加わる。2005年1月、オラクル・コーポレーションによる同社買収後の日本法人、日本オラクルインフォメーションシステムズ(現合同会社)で人事部門長としてHRシニアディレクターを担い、その後のオラクルの戦略買収に伴う人事マネジメントに従事。2007年に日本オラクル執行役員人事本部長兼日本オラクルインフォメーションシステムズ合同会社HR Vice President-Japanに就任。現在に至る。