――働き方改革について、残業時間などKPIを設定しているものはありますか。

伊藤:全体的な職員の残業時間は月平均約11時間ですので、かなり少ないと思います。前年と比べても減ってきているので、かなり効率性も上がっているのかなと思います。

 働き方についての取り組みとして大きく変えたのは、会議時間のあり方です。今までは「〇時から」と開始時間しか示していませんでしたが、「〇時から〇時まで」という言い方に変え、議題ごとの所要時間も細かく決めるようにしています。資料も早めに配って事前に読んでおくようにすれば、さらに効率化が進むと思います。

 同時に、職員の残業は減ったけれどもその分管理職の業務が増えてしまったということにはならないようにする必要があります。実はそうした報告が上がってきているので、組織全体の業務を効率化することが重要だとあらためて認識しています。

 こうした報告自体、昔は出なかったかもしれません。女性活躍を契機として、いろんな意見を言える風通しの良い組織にしていくことも大事です。17年7月からは、組織風土改革のプロジェクトチームも立ち上げました。活動の一環として、役職ではなく苗字に「さん」を付けて呼ぶ「さん付け」運動を始めたばかりです。本当に小さな取り組みかもしれませんが、垣根を取り払い、「個」をリスペクトするための第一歩だと考えています。

――最後に、支払基金の女性職員に向けてメッセージをお願いします。

伊藤:今、私たちはさまざまな改革に向かって進んでいます。業務の効率化、高度化、加えて新しい事業にも踏み出そうとしています。こうした時に、支払基金の半分を構成する女性の力がぜひとも必要です。女性職員も男性職員と同じように能力を発揮し、どうやったら働きやすい職場に変えていけるのか。皆さんの声に耳を傾けながら、変化を恐れずに進めていきたいと思っています。

麓 幸子(ふもと・さちこ) 日経BP社 日経BP総研フェロー
麓 幸子

1984年筑波大学卒業。同年日経BP社入社。88年日経ウーマンの創刊メンバーとなる。2006年日経ウーマン編集長。12年ビズライフ局長。日経ウーマン、日経ヘルスなど3媒体の発行人となる。14年日経BPヒット総合研究所長・執行役員。15年日経BP総合研究所副所長。17年日経BP総研マーケティング戦略研究所長。18年現職。2014年法政大学大学院経営学研究科修士課程修了。内閣府、林野庁、経団連・21世紀政策研究所研究委員などを歴任。筑波大学非常勤講師。一男一女の母。著書等に『女性活躍の教科書』『なぜ、あの会社は女性管理職が順調に増えているのか』(日経BP社)、『企業力を高める―女性の活躍推進と働き方改革』(共著、経団連出版)、『就活生の親が今、知っておくべきこと』(日本経済新聞出版社)などがある。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。