昨年、働き方改革関連法案が成立し、この春からワークルールが大きく変わる。ダイバーシティ推進や働き方改革が比較的難しいともいわれる不動産流通業界において、「2019年をイノベーション元年」と位置づけ、既成の固定観念を打破し、働き方改革のみならず組織風土改革も進めているのが、三井不動産リアルティだ。改革とその成果を代表取締役副社長の大下克己氏に聞いた。
(取材=麓幸子:日経BP総研フェロー、文=西尾英子)

従業員のエンゲージメントを高める仕組みを作る

――この春からワークル―ルが大きく変わろうとしているなか、改めて三井不動産リアルティにとって、なぜ働き方改革が必要なのかを教えてください。

大下副社長(以下、敬称略):不動産流通業界は他の産業界と比べ、ダイバーシティ推進や働き方改革において、ずいぶんと遅れをとってきました。その背景には、この業界の特殊性が大きく影響しています。少し時代を遡ってご説明すると、当社は1977年から、当社の前身である三井不動産販売と、地元有力不動産会社との共同出資で設立したリハウス会社とフランチャイズ契約を結び、「三井のリハウス」ブランドで不動産仲介営業を行う仕組みを展開してきました。その後、リハウス会社の整理・統合が進み、2012年に三井不動産販売がリハウス会社5社を吸収合併し、三井不動産リアルティとして新たなスタートを切りました。

 不動産流通業は個人の成果量が問われる歩合制の仕事で、そのために残業や休日出勤もいたしかたないという風土、文化が業界としてありました。そのため働き方改革やダイバーシティ推進といった概念なんてない、というイメージが根強くあったと思います。他の産業界とはスタート地点からずいぶん異なります。

 しかし、“この業界はそういうものだから”とこれまでのやり方を踏襲していては通用しない。よい人材を確保するためにも、きちんとした働き方の仕組みを作っていくことが業界全体として必要だと思います。

三井不動産リアルティ 代表取締役副社長 大下克己氏
1980年三井不動産販売入社。関西支店に配属され関西エリアのリハウス事業立ち上げ準備などに携わる。1989年に東京勤務となり、国際事業、リース事業などに携わり、2005年の執行役員就任後はリパーク事業、リハウス事業の統括責任者を歴任。17年4月、代表取締役副社長に就任。

――まずは、何から着手したのでしょうか。

大下:今から5、6年前だと思いますが、最初に取り組んだのは、休日の問題です。店舗の定休日を水曜の週1日から、火・水の2日にしようと、大手流通業界の集まりで検討しました。ほとんどの店舗は7人前後と少人数ですから交代制で休むことも難しいので、店を閉めない限り従業員は休むことができない。だからこそ業界全体で取り組まないといけないし、変えていきたいという思いがありました。半年後には、各社、火、水の週2日の定休日になりました。