働き方改革というと残業削減や有給休暇消化などに注目が集まり、ややもすると「働くな」という間違ったメッセージにとらえられてしまう場合もあるが、新日鉄住金ソリューソンズは「働きがい向上」を重視しつつ変革を進めている。18年12月には、女性活躍推進法の「えるぼし」2つ星も取得。高い外部評価を獲得している同社の戦略と施策を人事担当役員である取締役の玉置和彦氏に聞いた。
(取材=麓幸子:日経BP総研フェロー、文=西尾英子)

働き方改革は事業の競争力を高める

――2018年4月から人事担当の役員に就任されました。改めて、なぜ働き方改革が必要なのかを教えてください。

玉置取締役(以下、敬称略):ビジネス環境が目まぐるしく変化を遂げるなか、顧客企業から求められる課題もより高度化しています。その変化に対応していけるよう、我々自身も事業を高度化させ、より高い価値を生み出せる存在でないといけません。そうした課題を乗り越えるには、やはり多様性を保つことが重要。多様な価値観が交わりあうことで新しい価値が生まれます。これまで環境が整っていなかったために活躍できなかった人たちが力を発揮できるようになる。こうしたことに本気で取り組むことが、事業の競争力を高めることにつながります。

新日鉄住金ソリューションズ 取締役執行役員人事本部長 玉置 和彦氏
1985年 新日本製鐵入社。2001年4月 新日鉄住金ソリューションズへ出向。12年人事部長。15年執行役員 人事部長。16年執行役員 流通・サービスソリューション事業部長。18年取締役執行役員 人事本部長。現在に至る。

――事業の高度化というのは、例えばどういったことを指すのでしょうか。

玉置:これまでシステムインテグレーターの仕事といえば、顧客企業からいただいた要件をに沿って、それをしっかり実現していくことに重点が置かれてきました。しかし近年、顧客企業自身の課題をともに解決していく役回りを期待されるようになっています。ITの重要性がますます高まるなか、システムの存在が事業そのものを左右するといっても過言ではありません。顧客企業のビジネス発展のために、ITパートナーとして事業の立ち位置から共に考え、創りあげていくケースが増えており、我々はこれを「NSSOL2.0」と呼んでいます。従来の事業モデルが「1.0」、ITパートナーとして共に事業を創る「2.0」、さらに現在、AIやIoTなど最先端のテクノロジーを駆使して新たな事業領域を開拓する「NSSOL4.0」も進行中です。

――働き方改革の取り組みの中で、「働きがい」を重要視しているようですが、どういった思いがベースになっているのでしょうか?

玉置:もともと当社では、現場の士気が高く、一人ひとりが働きがいを持って仕事をするという文化があります。そうした長所はそのままに、変えるべきところは改善する。当社では「働き方変革」という呼び方をしますが、この基本方針の中にも、大切なものは残し、新たな変化を取り入れる「不易流行」を掲げています。ですから、労働時間削減にしても、単に「働くな」というメッセージではなく、“自分たちの働きがいを大事にしながら、より働きやすい環境を整えることで結果的に労働時間を削減し、一人ひとりの幸せや人生の充実につながっていく”という考え方を軸に、働きがい・士気の維持向上と長時間労働是正の両立を進めてきました。