各職場でアイデアを出し合い、働きがい向上につなげる

――労働時間削減の取り組みは、ややもすると「働くな」という間違ったメッセージに捉えられてしまう場合もありますね。

玉置:そうした誤解のないように、「“働かない”改革」ではなく、「働きがいを一番大事にする」というメッセージを意識的に伝えてきました。2015年に働き方変革の取り組みが人事でスタートし、2016年4月に前任の福島取締役が働き方変革担当役員として組織を設置。3カ年計画で段階的に取り組みを推進してきました。まずは、意識の変革に注力し、あらゆる場面でメッセージを発信。各事業部でキックオフを行う時は、直接出向いて話しをするなど、地道な取り組みにより、土壌を作ってきました。

 同時に、働き方変革活動のKPIを策定。当社の特徴である“働きがい”指標を重視しながら、KPIに基づいてPDCAを実行してきました。

 もちろん、総労働時間の削減に関してもKPI目標値を設定。総労働時間をモニタリングしながら、過重労働が出ないように、各部署で組織的なフォロー体制を強化したり、早期対策でトラブルを予防したりするといったこれまでの取り組みも継続しています。有給休暇も取得状況を月次で管理し、着実に実績を出してきました。

 さらに2018年から、顧客企業にも当社の働き方変革の取り組みをご理解いただくために、活動目的や取り組みを伝える社長名のレターを出しています。

全社で働き方変革のコンテストを実施。優れたアイデアは表彰式で発表され、順次制度化している。

――社長名のレターは、どういった背景で実施されることになったのですか?

玉置:当社の事業は、顧客企業との関わりが深いため、現場の社員が労働時間をコントロ―ルしながら働くには、顧客の理解が欠かせません。基本的には営業が持っていき、説明をしていますが、事業部によっては、すでに2016年から事業部長名で同様の取り組みを行っているところもあります。

 各職場からもアイデアを出し合い、様々な働きがい向上の活動が進んでいます。例えば、ある事業部のチームでは、毎週金曜の夕方に、「ワクプレデー」=“ワクワクしてプレミアム退社する日”として、上司がメンバーの活動を振り返って労う「秀麗なる終礼」を行っています。コミュニケーションをより円滑にすることで、働きがい向上につなげることが目的です。別の事業部では、一人ひとりが自分の働き方を宣言する「私の働き方変革宣言」を実施。各事業部の活動は、イントラネットで情報共有しています。

――2017年には、全社で働き方変革の「アイデアコンテスト」を実施。優れたアイデアを実際に施策として展開されていると伺いました。具体的にどういったものがあるのですか?

玉置:コンテストでは投票や審査によるアイデアの表彰も行ったのですが、そこで表彰されたアイデアは、2017年度から順次制度化などをしています。社長賞を受賞した「社内申請のスマホ対応と紙ベースの社内申請業務の電子化」は、現在システムを構築中で、2019年度より順次リリース予定です。また、優秀賞を受賞した社内の開発者同士がコラボレーションをしやすくするための「チャットやレポジトリ共有基盤の整備」も順次整備中です。そのほかにも、先ほど申し上げた「ワクプレデー」や、育児をしながらも働きやすい環境作りを目指した「柔軟な働き方環境の整備、休業中社員への社内情報提供」も優秀賞を受賞しており、順次、社内展開や制度整備を行っています。

 このコンテスト以降、生産性向上につながる活動を積極的に行う風土が醸成され、その表れの一つとして「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の活用による定型業務の効率化を進めた事業部があります。個人の労働時間を管理するツールなのですが、現在の労働時間から月の総労働時間が推定され、過剰労働になりそうな人には、注意喚起を呼びかけ、自らコントロールしてもらいます。労働時間の管理が自動化されることで、事務の手間が効率化でき、実際に社員の労働時間減少にも効果が出ています。RPAは、マネジメントの活用にも役立ちます。労働時間の状況が早期に分かるので、過重労働になりそうな人には、我々が面談を行い、課題をヒアリングするなどの対策を打つことが可能です。