「働き方改革」推進室の解散を目標に

――それが業務にプラスされるのではなく組み込まれている。社員の発想の力が働き方改革を推進したことで伸びている証拠ですね。

日比:はい。いろいろな発想を持ち、働きがいを持つということを前提に、去年の7月にマーケティング本部の組織を大きく変えました。今までは、家庭用事業部、業務用事業部があって、それぞれに営業がついていたのですが、その二つを統合したことによって、コミュニケーションがよくなり、新しい発想が生まれるようになりました。今までのように「縦」の関係ではなく、「横」にすることで、コミュニケーションが生まれて、そこから新たなアイデア、商品が出てくれば、ビジネスの拡大になります。

 営業組織も、これまでは事業部の下にいたのが、横に出すことで、現場での判断ができるように権限を委譲しました。営業マンが様々なことにチャレンジしやすくなりますので、そこでも成果がでると確信しています。

――「縦を横にする」、その時に注意したことは何でしょうか。

日比:やはりコミュニケーションが重要ですね。営業を並立の位置に置くには、事業部とのコミュニケーションが密に取れていないといけません。そのため、そこに会議体をいくつか設けて、途切れないようにする会議体、取りまとめる部署を作りました。

――会社のビジョンを浸透させるにあたって、取締役として気をつけているところは?

日比:当社の経営ビジョンの一つに「ファンづくりを事業の最重要目標にする」というものがあります。この「ファンづくり」のための自発的な活動をすると、総務に情報が寄せられ「ファンレポ」という社内広報を全員に配信しています。例えば、ある工場で、工場見学を工夫するなどファンを増やす活動をしたら、その情報を全員に配信する。ここ数年で230~240件の情報が集まりました。

――働き方改革は推進室ができて2年目に入って、いろんな効果が出てきているということですね。

日比:そうですね。今は過渡期で、あえて「働き方改革」推進室を作って情報発信や研修をしていますけど、本来はこのような組織がなくても、皆さんがイキイキと働けることが一番いいのです。私のこの「働き方改革」推進室長という肩書が、早くお役御免になることが、この会社が良くなることだと思っています。今のところ、道半ばですが。

――2019年度の日比専務の目標、ゴールポイントは何ですか。

日比:例えば2020年度に先ほどのエンゲージメント80%の目標を達成するとか、今やっている施策が定着するとか、総実労働時間が1900時間を割るとか、ヒット商品が出るとか、営業成績がいいとか、いろいろ組み合わさっていい方向に進んでいくことです。ただ部署によって濃淡があるので、一律の施策ではなく、部署に合った具体的な策が必要ですね。

 管理職が率先垂範して職場の風土を作り、結果として目標達成できれば、それが第一歩ではないかと。さらに2020年度に向かって何をしていくかということです。

 最終的には推進室の解散を夢見てやっていきます。

麓 幸子(ふもと・さちこ) 日経BP社 日経BP総研フェロー
麓 幸子

1984年筑波大学卒業。同年日経BP社入社。88年日経ウーマンの創刊メンバーとなる。2006年日経ウーマン編集長。12年ビズライフ局長。日経ウーマン、日経ヘルスなど3媒体の発行人となる。14年日経BPヒット総合研究所長・執行役員。15年日経BP総合研究所副所長。17年日経BP総研マーケティング戦略研究所長。18年現職。2014年法政大学大学院経営学研究科修士課程修了。内閣府、林野庁、経団連・21世紀政策研究所研究委員などを歴任。筑波大学非常勤講師。一男一女の母。著書等に『女性活躍の教科書』『なぜ、あの会社は女性管理職が順調に増えているのか』(日経BP社)、『企業力を高める―女性の活躍推進と働き方改革』(共著、経団連出版)、『就活生の親が今、知っておくべきこと』(日本経済新聞出版社)などがある。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。