社内SNSで意見を吸い上げ共有し、当事者意識を高める

――「シンプリフィケーション」とは日本語で言うと、簡素化でしょうか。

舛谷:はい。ニュアンスとしては、単に簡素にするというよりも、より賢いやり方に変えて、無駄をなくしていくというイメージです。ITツールの活用や会議の進め方の見直しなどによって作り出された時間は、自分への投資や家族のために使うことができます。ワークとライフのバランスが取りやすい環境を作り、生産性を高めていくことが狙いです。

 例えばMRが営業で使う紙の資材は、全国に69ある拠点でそれぞれ管理していました。これを必要な分だけオンデマンドで発注する仕組みにすることで、在庫管理が不要になり、コストも削減できました。また、社内の様々なシステムを使う際は、システムごとに何回もパスワードを入力する必要がありましたが、これを一度のパスワード入力で済む「シングルサインオン」に変更しました。

 シンプリフィケーションの取り組みは、営業の現場にかなりイニシアティブを取ってもらっています。自分たちで考えたものが一番使い勝手がいいはずですし、アイデアを出すことが自律にもつながります。

――現場からの意見はどのように吸い上げたのでしょうか。

舛谷:本社にプロジェクトチームを設置し、全ての支社からMRに参加してもらいました。彼らを通して上がってきた現場の意見を検証すると同時に、本社からの提案についてもまずチームメンバーに意見を聞き、それから全社に導入という形にしました。

 また、社内には誰もが使える「チャター」という社員同士でつながれるソーシャルメディアがあって、情報交換や事例共有の場として利用が進んでいます。ここに、シンプリフィケーションに関する質問や要望を上げられるスレッドを昨年4月に立ち上げました。投稿に対して担当者が答えるという形で運用を進めていて、質問と回答のやりとりは全社員が見ることができます。システムのシングルサインオンを含め、チャターでの現場からの投げかけで実現した取り組みはたくさんあります。

――目安箱のような仕組みはよくありますが、やりとりの過程まで可視化されるのはなかなかないと思います。当事者意識、参加意識を醸成することにつながりますね。

舛谷:コミュニケーションを透明化し、情報を共有することで、社員一人ひとりが変化を起こす当事者になれると実感できます。上の誰かが考えてくれるのではなく、何が問題なのかを自分たちも考えて、意見として言える文化を作っていくことが大事だと思います。

チャットを活用し意見や質問を共有、回答も見える化する
シンプリフィケーションに関する支店長会議
上 シンプリフィケーションは現場に根差した取り組みが評価され、全世界の社内プロジェクトの中から優れた成果を示したチームに贈られる2017年CEO賞を受賞した。
下 シンプリフィケーションの一環として、Skypeを使いこなすためのトレーニングを実施。まずは親しむことから、と支店長会議でも実践された。