日経ウーマン6月号で発表された「女性が活躍する会社ベスト100」ランキング。日本生命保険は総合ランキング13位と上位にランクインし、ダイバーシティ推進度ではトップとなった。人事のトップである取締役専務執行役員の中村克氏に、介護との両立施策や自己研さん施策など現在注力している取り組みを聞いた。(取材=麓幸子:日経BP社 日経BP総研フェロー、文=西尾英子)

「男性育休取得100%」の次は介護問題に全員で取り組む

――「男性育休100パーセント」という日本生命の取り組みは、かなり知られてきました。現在は、介護との両立に注力していますね。

中村専務(以下、敬称略):育児と違い、介護は対象者が見えづらい。さらに、当社の在籍構造を見ると、実際に介護に関わる可能性が高い40~50代が山になっており、会社全体として、いつ深刻な問題となっても不思議ではありません。具体的な取り組みもさることながら、社内の理解浸透に腐心してきました。こうした状況を踏まえ、2016年から「介護に向き合う全員行動」を打ち出し、全従業員を対象に取り組んできました。

――「全員行動」というネーミングに強いメッセージを感じます。具体的には、どんな取り組みをしたのですか。

中村:まずは現状を把握するため、2015年度末に「介護実態調査」を行ったところ、50代の2割が実際に介護に関わり、30~50代では6割以上が「5年以内に関わる可能性がある」ことが判明しました。介護に対する不安を抱えた人は、全体の9割強にものぼりました。そこで取り組みをスタートした2016年には、介護に関する理解を深めるために「体験セミナー」や介護施設でのボランティアを実施し、約7000人以上が参加しています。その結果、アンケートによると「相談しやすい雰囲気がある」という回答が以前より1割強ほど上昇しました。我々生命保険会社は、介護保険やサービスをお客様に提供する立場ですから、介護問題に取り組むことは本業にも親和性がある。そうした点も従業員に響いているように思いますね。

中村克氏
1984年大阪大学卒業。同年入社。2009年人事部長。2011年執行役員人事部長兼震災復興局。2012年同兼人材開発室長。2013年執行役員業務部長。2015年3月常務執行役員審議役(人事部)。同年7月取締役常務執行役員。18年3月取締役専務執行役員。

――介護の短時間フレックスタイム制も導入しています。運用状況はいかがですか?

中村:実際に活用している人は多くはないですが、個別相談会なども行いながら、制度の周知に取り組むと同時に、活用しやすい職場の雰囲気作りにも注力しています。そのためのキーマンとなるのが、所属長である「イクボス」の存在です。イクボス向けの取り組みとしては、管理職向けメルマガで事例の発信をしたり、介護に関するワークショップを開催したりするなど問題意識を高めています。さらに、所属内でのミーティングで介護に関する話し合いの機会を設けるなど、職場全体で「お互い様意識」醸成につなげています。

 また、様々な面からの労働環境整備を進めているところであり、そういったこともきっかけとして、介護の短時間フレックスが浸透していけばいいなと思っています。

介護セミナーや介護施設のボランティア
介護セミナーや介護施設のボランティアには約7000人が参加