のべ400人を超える学生がハイブリッド留学を経験

――クォーター制を活用した基礎科目のステップアップ制について教えていただけますか

佐藤:数学や、物理、化学などの自然科学の基礎的な勉強は、できるだけ早いうちにきちんと身に付けて、より専門的な高いレベルへ進んでほしいわけです。クォーター制では4分の1学期ごとに試験をしますので、自分が到達した地点がより早くわかります。高校時代の履修履歴に関係しますが、達成度の低い学生は次のクォーターで同じ授業に再チャレンジし、一方で目標を達成した学生は次々と先に進める。これをステップアップ制と呼んでいます。

 入学生全員が同じ履修状況で入学してくるわけではないため、凸凹を2年生の半ばくらいまでにそろえるシステムになっています。日本での多くは、4月入学3月卒業で前後期の制度のままです。そのようななかで、できるだけ早く自己の学習成果がわかるシステムとして15年度から導入し、学生たちにも好評を得ています。

――そういうことで留年率や退学率が明らかに減少したのですね。もう一つ、ハイブリッド留学について教えていただけますか

佐藤:主に1、2年生の間の1クォーター分を留学してもらうシステムです。学年制限を設けていないプログラムもあります。約20人のグループで現地へ赴き、ホームステイをしてもらう。ホームステイ先に、日本人は1人もいないことが本学の条件です。英語の授業も協定校のネイティブ教員が行いますが、専門あるいは教養科目の授業については本学が教員を派遣して日本語で授業します。あくまでも大切なのは、エンジニアリングを理解することで、英語ができることではありません。しっかりしたエンジニアリングができ、英語を怖がらず、異文化を理解する人材を作るのが目的です。

 ハイブリッド留学は5年前にイギリスのカンタベリーで始め、現在はアメリカ(シアトル)とニュージーランド(オークランド)でも実施しています。これまでに400人を超える学生たちがハイブリッド留学をしています。文科省の大学教育再生加速プログラムにも採択いただき、補助も受けながら拡大を図っています。

――2037年に迎える学園創立150年に向けて、今後のビジョンをお伺いします。

佐藤:工学は、ふつう固いイメージを伴います。しかし、工学も、そしてその名を冠する工学院大学も時代とともにあり、産官学で力を合わせて超スマート時代を実現する社会づくりに貢献したいと思っております。そのためには女性の技術者、研究者、建築士などを育成し、社会で活躍してもらうことが、働き方改革に貢献するための我々の使命と考えています。

 先ほどお話ししましたように、工学も学問の分野が広がり女子学生が活躍できる分野がどんどん増えています。また、工学院大学の就職率は非常に高く、特に女子学生の就職率はほぼ100%です。在学中にはエンジニアリングのトレーニングをしっかり行うと共に、特に女性の場合にはライフイベントに合わせたキャリア支援プログラムも充実させています。パワーあふれる女子学生が本学にさらに増えることを期待しています。

麓 幸子(ふもと・さちこ) 日経BP社 日経BP総研フェロー
麓 幸子

1984年筑波大学卒業。同年日経BP社入社。88年日経ウーマンの創刊メンバーとなる。2006年日経ウーマン編集長。12年ビズライフ局長。日経ウーマン、日経ヘルスなど3媒体の発行人となる。14年日経BPヒット総合研究所長・執行役員。15年日経BP総合研究所副所長。17年日経BP総研マーケティング戦略研究所長。18年現職。2014年法政大学大学院経営学研究科修士課程修了。内閣府、林野庁、経団連・21世紀政策研究所研究委員などを歴任。筑波大学非常勤講師。一男一女の母。著書等に『女性活躍の教科書』『なぜ、あの会社は女性管理職が順調に増えているのか』(日経BP社)、『企業力を高める―女性の活躍推進と働き方改革』(共著、経団連出版)、『就活生の親が今、知っておくべきこと』(日本経済新聞出版社)などがある。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。