――多様性と多面性はどう違うのですか?

 吉松:多様性というのは、年齢とか性別とか、障がいがあるだとか、出生地だとか、幅広い性質で分類されます。多面性は接してみなければ、話してみなければ分からないことです。考え方や価値観、潜在的に持っている人の能力など。

 年齢や性別、国籍を問わずにいろんな価値観や考え方の違いをぶつけ合うことで、新たに議論が生まれ、これまで想像し得ないような解が生まれてくる。その解をさらに深堀していくと、「この角度から調査してみましょう」と見えてくるものがあるはずなのです。

 一つ例をあげれば、ここ数年、コーヒーは缶からペットボトルに一気に移りました。新たなコーヒーファンの「ちびだら飲み」が定着しましたからね。弊社も2019年春に新規で無菌充填ペットボトルの製造ラインが増設され稼動します。今までのようなやり方、考え方で投資の準備、マーケティングをしても、出てくる解がこれまでとは全く違うことも起こりうるんですね。多面性を意識して、消費者の深層心理に踏み込んで、潜在的な需要を引き出せていれば、「ちびだら飲み」という大ブームを、もっと前段階でキャッチできたかもしれないということなんです。

ユニバーサルデザインによる
環境づくりで女性も活躍する多摩工場

――ところで多摩工場がユニバーサルデザインによる環境づくりで、女性も活躍しているということで、注目を浴びましたね。

吉松:工場の製造ラインは、重い部品を動かしたり、3交代勤務だったりということもあり女性には厳しい仕事なんです。でもだからといって、男性の職場のままにしていれば、ダイバーシティ推進にはなりません。

 そこで多摩工場では、新しいラインを導入する際、重量部品を軽くしたり、大型部品を分割して持ち運びやすくしたり、ステップを設置して高いところの操作をしやすくしたりと、女性の体力、体格を考慮して設計し、女性も製造ラインで仕事ができるようにしたのです。女性トイレや休憩室も整備しました。休憩室は明るいピンクを基調にしたところ、とても好評です。

 企業が女性活躍を考えるなら、ただ「これまで男性中心だった仕事を女性にもさせる」ではなくて、環境を整備しながらやっていかなくてはいけません。

多摩工場
女性が製造ラインでより活躍できるように環境を変えた多摩工場では、いろいろなメリットが生まれた

――それはいつ頃からですか。どんなメリットがありますか。

吉松:昨年の7月ごろからですね。まず、職場が活性化しますよね。これまで男性の価値観だけでやってきたところに、女性の目が入ることで改善の領域が広がっていくのです。だからどんどん働きやすい、効率の良い職場に変わっていきます。会社にも、働く人にもメリットです。

――営業現場はどうですか? 最近は会社がいくら女性活躍を推進しても、営業先のクライアントが「女性じゃだめだ」と言ったり、クライアント自身が長時間労働を抱えていたりという問題もあるのですが……。

吉松:営業は以前から女性活躍推進に挑戦しています。スーパーやコンビニエンスストアなどの商談を女性が担当することも多いです。営業には女性管理職も増えています。また、会社の専用車で営業先に直行直帰できるので、労働時間の短縮になります。営業は相手先のこともあって制約条件が多いのですが、いろいろ工夫しながら、同時に女性もしっかり入り込んでいける方法を検討中です。

 女性の働きやすさという点では、他にもフレックスタイムの導入と、サテライトオフィスと在宅勤務の試験導入を行っています。