女性比率6割。女性社員を主体にした健康経営に力を注ぐ

――20年に向けて様々な施策を設けていますね。そのことについて教えていただけますか。

力石:2020年の健康目標数値実現に向けて、「生活習慣病予備群への対策」、「女性の健康」、「卒煙推進」の3つの取り組みを設定しています。

 生活習慣病予備群への対策としては、歩きの質の向上、スニーカー&リュック通勤、食事改善プログラムなどを行っています。社員全員に活動量計(万歩計)を配布し、1日8000歩と20分の早歩きを目標に掲げています。18年は「COOL BIZ +WALK BIZ」をテーマに、全社員に夏期の「スニーカー&リュック運動」を推進しました。足腰の動きが衰えたらロコモティブシンドローム(運動器症候群)になり、将来寝たきりになるリスクが高まります。筋肉を衰えさせないためには、まずは歩かないとダメなので強化しています。

(上)1日8000歩と20分の早歩きが社員全員の目標。18年は夏期に「スニーカー&リュック運動」を推進。(下)自分の体調の変化に早く気付くのにも役立つというラジオ体操。全社で現在も実施している。

――健康経営を実践する企業は増えていますが、ロート製薬はその中でも女性社員の健康に着目した取り組みに力を入れている点が特徴的ですね。

力石:私たちが女性の健康を考えるきっかけの一つになったのは、妊娠検査薬の開発でした。当社は製薬メーカーですから、「風邪薬を飲んだ後で妊娠していることが分かったのですが、安全でしょうか?」というような質問が寄せられます。妊娠初期に飲んでしまうと胎児に影響が出てしまう薬もありますが、女性が自分で妊娠したことを妊娠初期の早い段階で確認できれば、早い段階で受診しようと思うでしょう。開発を始めた1980年代当時、欧米では個人が使える妊娠検査薬が当たり前となっていたのに、日本ではそうではなかった。医師会や官庁など関係団体とも協力して、1991年、一般用妊娠検査薬の認可にこぎつけました。さらに20年かけて2016年に、一般用排卵日予測検査薬「ドゥーテストRLHa」の認可を受けることができました。検査薬の開発や販売、そして薬局やお客様とのコミュニケーションを通して、女性と子供の健康を考える素地が出来上がったと思います。

 また、「オバジ」や「肌ラボ」などスキンケア事業に進出して女性社員比率が増えたことで、もっと女性が活躍できる仕組みづくりをしようと、03年に「女性活躍推進プロジェクト」が立ち上がりました。

 健康診断は元々、男性主体の検査項目でしたが、同年に、甲状腺検査や乳がん検診、子宮がん検査など女性特有の病気予防のための項目を設けました。16年4月からは女性社員の乳がん健診、子宮がん検診を無料化。また、日本の女性の貧血が深刻で、女性たちの健康や妊娠に悪影響を与えていることを専門家の先生からお聞きしたのを機に、18年からは潜在性鉄欠乏症(隠れ貧血)を検査する血清フェリチン検査を無料化しました。この検査は通常の健康診断では項目に入っていないものです。

女性の健康に着目するきっかけとなった妊娠検査薬。今では、排卵日を予測する検査薬も上市し、妊活をサポートしている。