――改めてそう思われた理由を教えてください。

寺田:まず、結婚して子どもができても、働きたいという女性のニーズが非常に高まっています。待機児童問題などもゆくゆくは解消されていけば、今まで性別的な偏見や固定観念から男性が中心だった職業に、多くの女性が就くと思います。そのことが職場自体を大きく変えていきます。カゴメの現場でもまさに面白いことが起きています。

 工場には原料を調合するオペレーターがいるのですが、非常に重いタンクや資材を運ぶといったことをずっと手作業でやっていたので、男性しかできないと言われていました。その仕事を今、複数の女性がやり始めています。

 ダイバーシティ推進の強い働きかけによって工場でも女性の採用が増え始めると、いつまでも「女性はデスクワーク中心の間接部門の勤務」という訳にはいかなくなります。女性たちにも、工場で働くからには、お客様に食べて飲んでいただける商品作りに関与したいという気持ちがあります。 そこで現場にも配置すると、最初は男性の間に「あんな仕事は女性には無理だろう」という偏見がありました。でも、女性は仕事を教わるうちに「重い資材がどうにもなりません、何とかなりませんか」と提案するようになった。そこで現在、タンクを担がずに原料が自動投入できるポンプを開発中です。

 男性だって40キロのタンクを毎日担いでいたら職業病で腰痛になりますが、「重いのは仕方がない」と思って会社に対してこれまで何も言わなかった。それが女性の視点が入ることで、男性にも、さらには再雇用の高齢者にも働きやすい職場になったのです。ゆくゆくは労災の防止にもつながり、会社にとってもメリットがあります。

カゴメ富士見工場
富士見工場ではタンクを担がずに原料が自動投入できるポンプを開発中
カゴメ上野工場
上野工場では女性がメイン作業者として従事する専用ラインができた