――今のお話は、プロセスレベルのイノベーションですね。課題が可視化されて、改善が進んだと。こうしたことは、現場からアイデアを募って実現したのでしょうか。

寺田:工場で「女性活躍推進プロジェクト」を立ち上げて提案してもらいました。ほかにも、週1回機械を洗浄する際に使うバルブもものすごく重いものなのですが、メーカーに依頼して軽量化の検討が始まっています。また、一部の工場には女性がメイン作業者として従事する専用ラインもできました。そこでは今まで男性がやっていた仕事を女性中心でやっていますから、「女性が自分1人ではない」ということで、より現場に出やすくなっています。

 女性の仕事の範囲が広がることで多能工化も進みますし、その人にとってのキャリアアップにもなる。どこかで女性が活躍しだすと、周囲に「私にもできるんじゃないか」と思わせる効果が間違いなく出てくると思います。

 ダイバーシティが進むと、逆に女性が中心だった仕事にも男性が入ってくるようになります。例えばうちには男性のフードプランナー(※)が1人いて、メニュー開発や提案の仕事をしています。大切なのは、その人個人に適性があるかどうかということ。性別による職業への固定観念がなくなることによって、サービスレベルが上がったり、新しい発見があったりして、個人にとっても働きがいがあり、なおかつ会社にとってもプラスになる。こういう時代に変わっていくと思います。
(※)フードプランナー:マーケティング、営業部門などで、主にメニュー開発や提案を行っている。

仕事の標準化、自動化等を進め、社員が考える時間を増やしたい

――お話を伺っていると、カゴメの取り組みは社員一人ひとりの主体性を重んじているということが伝わってきます。

寺田:最近言われているダイバーシティや働き方改革の方向性は「チームで成果を上げる」というものですが、一人ひとりの主体性が発揮されないと、課題は解決しません。そういう点でツールとして威力を発揮しているのはスケジューラーです。職場ごとでなく、全員のスケジュールが共有されています。

 今までは「〇時~〇時 内勤」といったざっくりした入力だったのですが、この秋からは内容まで書くようにしました。業務分析もできるツールになっているので、例えば会議時間が多いことに対し組織として対策を打つことができます。すべての会議は2時間以内で終わらせる、ペーパーレスにする、事前に資料に目を通しておき、説明は最大でも10分で終わらせる、といったルールを設けています。

 時間に対する従業員の意識は確実に変わっていると思います。例えば商品のパッケージを作るとき、昔は納期の観念があいまいだったところがあり、企画部門が何回もやり直しをさせたりするので制作部門にしわ寄せがきていました。今は夜8時以降の残業ができませんので、「いつまでにアウトプットを出してください、それに間に合うようにこちらも材料をそろえます」というように、納期をきちんと決めて、そこに向かってお互い仕事を進めるようになっています。