従業員参加型の周年事業を

 2017年11月末、吉澤氏は全社員に向けてメールを送った。「70周年記念誌を、従業員参加型の100年企業への未来志向をいっぱい詰め込んだ気軽に読める冊子に仕上げたいと思っています。未来に向けてフォスター電機を作っていくのは、社員の皆さん一人ひとりです」

 2018年2月、フォスター電機の社員たちによる「70周年記念誌編集会議」のワークショップを開催。様々な部署から集まった社員が数人ずつのグループに分かれ、企画書を書いたりレイアウトの絵コンテを描いたりしながら、記念誌に掲載する記事のアイデアを積極的に出し合った。

 国籍や性別、年齢も多様な社員たちによる熱いディスカッションから生まれた企画の一つが「未来の音響業界を予測する記事」である。このアイデアを起用することになり、社員による編集チームも作った。出来上がった「FOSTER 70th ANNIVERSARY BOOK」には、「2050年の音響業界10大ニュース」として見開き2ページで掲載され、まさに社員参加型の記念誌制作が実現したといえる。

編集会議ワークショップの様子。ディスカッションし後はグループごとにアイデアを発表

 記念誌制作を進めるにあたり、吉澤氏が常に意識したのが「未来志向」である。「今の時代は、私たちが生きてきた頃とまるきり変わってきています。今後も人口減に伴い働き手も減っていく。30年後の社会がどうなっていくのか、豊かな社会を目指すために当社はどのような組織になるべきか、社会や当社の未来を皆で考えるような事業を実施したいと思いました」(吉澤氏)

 こうして企画したのが「フォスター電機の未来予測年表」制作である。20~30代の社員を中心に「未来年表作成プロジェクト」をスタートさせ、2018年6月には年表作成のためのワークショップを開催した。開催にあたり吉澤氏は社員に向けてメッセージを送った。「未来年表作成プロジェクトは、フォスター電機が100周年に向かう道だと考えています。30年後に世の中がどうなっているか、そして当社が何をやっていたら社会のためになり、皆さん自身の幸せにつながるのか。現在の当社の事業に関係なく、自由に発想してください。そして2050年に皆さんが当社に残っていたら、ぜひこのプロジェクトを思い起こしてください」

 4時間にわたるワークショップでは、社員たちが未来における同社の取り組みについて熱心に議論。当時入社2年目の女性社員は「普段は自社の歴史や未来について考えたことがなかったが、よい機会になった」と語った。社員が中心になって作った「フォスター電機の未来予測年表」は「FUTURE SCOPE」と題し、30年先のマーケット動向予測、今後フォスター電機が参入すべき事業やサービスなどの展望をビジュアル化した6ページの記事として70周年記念誌に掲載した。