◆エグゼクティブ・コーチングの効用
多くの方のエグゼクティブ・コーチングを行う中で、この「情報共有ができていない」という事態にとてもよく遭遇します。本人は部下と情報を共有していると信じているのですが、実際にはできておらず、いろいろな問題が生じているのです。
エグゼクティブ・コーチングを通して、「情報共有」の改善に取り組んでいきますが、ここでエグゼクティブ・コーチングの効用について、少しお話ししたいと思います。
エグゼクティブ・コーチングには次の2つの効用があります。
- クライアント自身に対する効用
- 周囲の人に対する効用
エグゼクティブ・コーチングでは、行動変革すべき点をクライアント自身が決めます。よって、自分で言い出した以上、責任感を持って取り組むことになり、クライアント自身の行動の改善が進んでいきます。
一方で、上司が真剣に取り組んでいることを周囲の部下などが目の当たりにすることで、上司が「変わろうとしている」メッセージが伝わり、あの人が変わろうとしているのだから自分も変わらなければいけない、と感じる部下が出てきます。このように、エグゼクティブ・コーチングに取り組むことは、自分だけでなく、周囲の人にも良い影響を及ぼすのです。
◆商品開発部長C氏の改善方法
それでは、商品開発部長C氏のように、「情報共有できていない」という課題を抱えているエグゼクティブの方をどのように改善したらいいでしょうか。
まずは情報を共有するということの意味を強く認識させます。C氏自身は、浮かない顔をしていた部下の話を聞き、言うべきことを言い、情報共有ができたと思い込んでいました。しかし、実際にはZさんの悩みに対して適切な返答をできず、逆にZさんを困惑させてしまったのです。
次に売上10億円を達成するために何をすべきなのか、みんなで話し合う場を設けるなど、何かしらの方法を提示することを心がけるように伝えます。