◆成功事例は共有されない

 エグゼクティブの方に認識してほしいことがあります。それは成功事例というのはなかなか共有されないということです。かつては当たり前のように、「部下は先輩の背中を見て勝手に育つ」、「技術は教わるものではなく盗むもの」と言われました。しかし、今は意識してそのことを伝えなければ、伝わらない時代になっています。

 仕事に対して様々な価値観を持った人が増えた、マネジャーが日々のことに追われて部下を指導するのに時間を割けない、など原因はいろいろとあるかもしれません。原因は何であれ、現在は変化のスピードが激しく、情報共有ができていない組織は、時代の流れに乗り遅れ、生き残れなくなっています。

 いろいろな人が自分なりの工夫を凝らして仕事に取り組んでいますが、ある人が工夫を凝らして成功した事例を組織で共有し、みんなで実践することで、組織として成果を残していけるのです。

 しかし、現実には、成功事例は組織の中でなかなか共有されません。その原因は、主に次のような2つの思い込みがあるからです。

  1. こんなのは成功事例とは言えない
  2. こんな情報は共有しても役に立たない

 新規のお客様を訪問し終わった後に次のようなことを行い、仕事を受注した人がいるとします。

  • フォローアップのメールや手紙を送
  • 1カ月おきくらいに電話連絡をする
  • 数カ月に1回はアポを取り、会いにい

 実践している人からすると、「当たり前のこと」をしているだけであり、これは「成功事例」ではないし、こんな「当たり前のこと」を共有しても、他の人には役に立たないと考えてしまうのです。

 しかし、ある人にとって当たり前のことが、別の人にとって当たり前かというと、そうではないことがよくあります。ほんのちょっとしたことでも、それを継続していることで大きな違いが生まれ、成果も大きく変わってきます。

 情報共有――特に成功事例を共有することは、組織がこれから生き残っていくうえで欠かせないものなのです。なお、情報共有をするうえで役立つものとして、エグゼクティブ・コーチングで取り入れているのが、以前のコラムでもご紹介した次の4つの質問です。