安田さんは、さらに次のような図を見せてくれました。

 (安)「この図を見て何か気付くことはありませんか?」

 (入)「焦点が、より『受講者』と『学習目標』に移っていることでしょうか・・・。確かに社内研修といえども、その研修に求められる位置付けが変わってきていますね」

 (安)「その通りです。学習目標とはゴールですよね。ゴールの背景には会社の経営環境や戦略から要請されるニーズがあるわけですから、社内インストラクターにはそこを十分に理解・定義して研修を実施することが求められるわけです」

 (入)「それは、社内インストラクターに限ったことではないですよね?」  (安)「はい。少し時間をさかのぼってお話しすると、日本の研修は歴史的に見て『福利厚生』の一環でしかありませんでした。インストラクターの役割も、『研修をつつがなく実施すればよい』レベルであって、『具体的な結果』が求められるような仕事ではありませんでした。そのため、『インストラクターに求められる能力は何か』とか、『優秀なインストラクターを輩出するシステムはどうすれば構築できるか』などの議論を正面切って行ってきませんでした」

 (入)「・・・なるほど、それがインストラクターの育成環境が現状、未整備なままであることの根本的な原因なのですね」

 ここでいうインストラクターに求められる「『具体的な結果』」とは、「研修のゴール」を達成できたかどうかです。安田さんのお話を伺っていると、確かに、「福利厚生」から「受講者のパフォーマンス変容」に研修の位置付けが変化していく一方で、「インストラクターの能力」に関しては業界全体で深い議論がなされていないのは事実だと思いました。