田島俊之
エム・アイ・アソシエイツ(株) ディレクター

シニアが活躍する時代へ

 「キャリアの価値はアップダウンしない。なぜなら、キャリアは役職でも報酬でもなく、自分自身の主観的な意味づけこそが重要だからである。だからこそ20代の若い世代から50代のシニア世代まで、キャリア開発の課題は大切なのだ」

 これはキャリア開発研修の冒頭でよくする話だ。自分らしい生き方や自分らしいキャリアを歩んでいくことが、充実感の高い人生やキャリア構築につながるという、いわゆる内的動機にフォーカスした考え方である。終身雇用や年功序列の仕組みが崩壊し、企業は盛んに内的動機に根ざした個人のキャリア構築を叫ぶようになった。しかし、叫ぶだけで、本当に個人が自立して自律的なキャリアを歩もうとした時に、きちんとサポートできる企業は少ない。現実にはまだまだ組織と個人の新しい関係を模索している企業が多いようだ。

 また、団塊世代のリタイアは、雇用延長によりその時期は分散したものの、企業活動に及ぼす影響は、量的にみても質的にみても依然として大きい。その点でも、50代を今までのように引退予備軍としてとらえるのではなく、もう一花も二花も咲かせられるような新しい仕組みを構築する時だと言える。多くの企業では、社員構成に占めるシニア層の割合が年々高くなっている。シニア層社員をこのままくすぶらせておくのか、あるいは会社の中で新たな働き甲斐を発見してもらうのか、これは企業にとって、この危機の時代を乗り切るための最重要課題と言っても過言ではない。今こそ勇気を持って将来への新しい一歩を踏み出す時である。

 私は2年前、シニア層の活用状況について、概ね次のような内容のコラムを書いた。「シニア層活用の必要性については社会全般には理解されており、一部先進的な企業では積極的な動きがでているものの、多くの企業では実際どのように対応していけばいいのか、各企業の事情の違いも含めて模索中である。またリタイア直前のシニア層個人の、長く働くことに関する認識もまだまだ低い」(興味のある方は2年前のMIAホームページ特集記事をご覧いただきたい)。しかし、その動きはここ1年で確実に加速された。未曾有の経済危機にあっても、否、そうであるからこそ、シニア層にそれなりの活躍をしてほしいと考える企業が増えてきているのではないだろうか。