特にリタイアが現実的な課題になってきたシニア層にとっては、この3要素の重要度は高い。シニア層にとっては人生の後半戦に入って前半の人生やキャリアを振り返った時に、果たしてこれからもこのままでよいのか、本当に取り組みたい仕事はこれだったのか、やり残したことはないのかなど、自身への問いかけはキャリア面だけではなく、むしろ人生そのものへの問いかけになってくる。シニア層にとっては、ライフデザインからキャリアデザインを構想することや、将来の不安のもとであるファイナンシャルデザインも踏まえて、キャリアデザインを構想することが重要だ。

 そしてキャリア開発3要素のデザインをしっかりさせるためは自分自身の本来の価値観を理解している必要がある。しかし、長い期間会社の価値観にどっぷりつかり、自分自身の価値観を前面に出すことなど要求されてこなかった現在のシニア層にとっては、本来の自分自身の価値観を把握することは意外とむずかしいことかもしれない。

 研修の場面で図3に示す価値観の6要素について探っていくワークがある。これを体験したシニア層の人たちの多くは、あらためて自分自身の本来の価値観に気が付くようだ。マズローの欲求5段階説では低次の欲求から順次実現していった高次の段階で初めて自己実現が達成できるといわれている。同様にこの価値観6要素も全体調和の視点で考えることが重要である。なぜなら図3に示すように、この価値観6要素はマズローの欲求5段階説に対応しているからだ。シニア層が活き活きと生きていくために一人ひとりがしっかりともっているべき価値観なのだ。