行動変容を促す人材マネジメントのポイント

 シニア層が活躍していくために、価値観や動機に根ざした新しい働き方や新しい役割設定がなされ、個人個人の認識や感情に着目したマネジメントによりモチベーションを高められれば、残された課題は行動変容と行動継続である。

 しかし、新しい働き方や新しい役割はそれだけでハードルの高いものである。まして今まで染み付いてきた行動を新たな行動へ変えていこうとするならば、それは並大抵のことではない。一般的に人が行動を変えていくにためは4つのステップを意識的に踏んでいく必要がある(図3参照)。

 人が自分自身の行動を変えていくことは簡単ではない。私自身も長い間に染み付いてきた行動を変える難しさは日々実感している。例えば、健康のために週に1日は休肝日をつくろうと思ってもなかなか継続できないといったことだ。一人で黙々と強い意志を持って・・・、と頭でわかっていても行動が継続しないのだ。しかし、一日休肝日をつくったら自分の心がうれしくなるようなご褒美を受け取る、といった自分なりの工夫で継続力を少し上げることができる。まさに動機や価値観に響かせるのだ。また、家族の協力や医者の指導など周囲とのネットワークを通じて徐々に行動を変えていくこともできる。行動変容には周囲のサポートが必要なのだ。

 人は行動を変えることでさらなる成長を目指すことができる。そして、重要なことは人の行動は究極的には何らかの形でその人の根源的な動機・価値観に根ざしているということである。動機のないところに意味のある行動はあり得ないし、本質的な成長はあり得ないのではないだろうか。

 逆に言えば、人の成長には動機とそれに基づいた行動が必要となる。さらにそのうえで人が人を育てる連鎖があれば、それが組織内の継続的な人の成長につながっていくのではないだろうか。つまり、人の行動変容を促すには、何よりその組織内に人の成長を強く願う人材育成リーダーがどれほど存在するかにかかっていると言えるだろう。