シニア層を活かす報酬制度のポイント

 65歳雇用延長時代の報酬制度はどうあるべきなのだろうか。基本は新しい役割とプロセスにも着目した評価制度による成果連動型の賃金制度だ。国の年金制度や高齢者雇用継続給付制度に左右されない企業独自の賃金制度構築が望まれる。

 具体的な課題としては、シニア層の新しい役割の模索とその評価の仕組み、時間軸を考慮した新しく柔軟な働き方、働く年齢を意識させない賃金報酬制度の構築などを骨子とした人事制度となろう。特に、働く年齢を意識させない賃金報酬制度は、従来の60歳までを想定したS字形賃金カーブではなく、役割成果連動型の賃金報酬体系を描くことで総人件費をコントロールしつつ、新しい役割と評価制度に連動した報酬体系でシニア層のモチベーションを維持する仕組みが必要である。

 従来の年功序列型賃金制度下のS字賃金カーブは、若年層からミドル層前半までが低く、ミドル層半ば以降から上昇してピークは50代前半から半ばに迎えるというモデルだ。このカーブに、私が考える今後あるべき賃金カーブを重ねると、課題が見えやすくなる(図2参照)。

 従来型のモデルでは、50代半ばころから子供の教育費負担も終わり、老後に向けた資産形成ができる時期に入る。つかの間の黄金期間である。そして60歳リタイア時に退職金で住宅ローンを返済し、その後は若干の資産と年金で悠々自適に暮らすという老後設計である。

 しかし、今は違う。企業の賃金カーブのピークは役職定年や企業の諸事情により40代後半から50代初めにシフトし、雇用延長後の5年間は劇的な賃金ダウンとなる。さらに金額によっては年金や雇用保険との調整も入る。老齢厚生年金の支給開始年齢は65歳へ引き上げられ、60歳以降に働かない人は無収入の期間が発生する。晩婚化の影響もあり現在の50代半ばではまだまだ子供の教育費負担も重く、パラサイト状態の子供も多いため、家計のやり繰りが厳しい状態が続く。従来型モデルにあった資産形成のつかの間の黄金期間すら存在しないのだ。つまり、老後の生活設計と資産形成を従来よりもっと早くから始める必要があるということだ。