松丘啓司
エム・アイ・アソシエイツ(株) 代表取締役社長

 企業における人材マネジメントや人材育成の基本的な枠組みは現在、不連続な転換点にあると考えられます。不連続であるがゆえに、かつての常識はかならずしもこれからの常識であるとは限りません。この変化は、たとえば雇用制度の見直しや成果主義の導入といった目に見える制度変更ではなく、組織における哲学や思想とでもいうべき基本パラダイムのレベルでの変更を求めるものです。

 目に見えないものは、変化が起こっている最中には、たとえ薄々、気づかれていたとしても確信されにくいものです。また、哲学や思想のようなものは、個人的考えによる差異が少なくないため、会社としての共通見解を作りだすことが容易でないことも事実です。しかし、人材開発に関する明確な哲学や思想がなければ、「社員にとってのキャリア開発とは何か」「リーダーはいかにあるべきか」「ダイバーシティマネジメントは企業にとって何を意味するか」といった、人事の今後を左右する基本的な問いに対して、一貫性をもって答えることができません。

 ここでいう哲学や思想とは、「そもそもどのような人材を創るべきか」という人材戦略の根幹をなす設計コンセプトです。本連載では、さまざまな角度から日本企業における人材開発のパラダイムシフトについて論じることで、読者の皆様がこれからの人材開発に関するご自身の哲学や思想について考えるお手伝いをしたいと考えています。

 第1回目は、社員のピラミッド構造がもたらす変化について考えます。