(1) 1次元:違いの認識
 個人の内発的価値観は様々です。たとえば、和を重んじる価値観、効率性を重視する価値観、本質を追求する価値観など、まさに十人十色です。ある2人の価値観を取り上げたとき、その2つの価値観はかならず異なります。それらは、いわば1次元の直線上の離れた位置にプロットされるようなものです(つまり重なりあわない)。

 一人ひとりの内発的価値観を活かすためには、まず、それぞれの価値観の違いが認識されなければなりません。しかし、他人の価値観を理解するためには、そもそも自分自身の価値観が認識されていなければなりません。さもなければ、違いがわからないからです。自分の価値観と他者の価値観を1次元で見ることによって、価値観の違いが認識されることになります。

 1次元の別の地点にある価値観は、そのままでは重なり合うことがありません。そのため、それらをそのままの状態で放置すると、異なる価値観は対立を起こします。対立は、組織の生産性を阻害します。それを避けるために、一方の価値観を無視して他方の価値観を優先すれば、無視された価値観は活かされません。また、両方の中間をとって妥協すると、どちらの価値観も活かされなくなります。したがって、異なる価値観は、放置するのでも、対立させるのでも、無視するのでも、妥協するのでもなく、何らかの方法で「調和」されなければならないのです。

(2) 2次元:違いの尊重と調和
 1次元で考える限り、どこまで行っても異なる価値観は調和しません。そのため、2次元での思考が必要になります。つまり、二人の価値観を2次元のマトリクスの縦軸と横軸にそれぞれプロットした状態を想像してもらえばよいでしょう。そうすれば、両者にはかならず交わる点(=調和)が生まれるのです。

 2次元思考で双方が調和する点を見出すためには、互いが相手の価値観を「尊重」することが前提になります。そのためには、自分の価値観のフィルターを通して相手の話を聞くのではなく、互いに相手の価値観を理解するために「聴く」(固定観念を取り去って集中して聞く)能力が求められます。それぞれが、自分の価値観と相手の価値観の両方を理解することによってのみ、価値観の調和が可能になります。

 異なる価値観が調和することによって、そこにかならず進歩や創造が生まれることをリーダーは知っていなければなりません。その例は、この連載の4回目「シナジーを生み出す矛盾のマネジメント」で、電気自動車のたとえについて書いていますので、参考にしてください。