「評価」には会社の価値観の浸透を推し進める「パワー」がある

 評価というものがなければ、目標設定がただのスローガンに陥ったり、おざなりになったり、形式的になったりすることは容易に想像できます。評価がなければ、計画策定や目標設定に真剣に取り組まないでしょう。評価があるからこそ、真剣に計画を策定し、目標を設定するのです。

 評価のプロセスで一番大切なものは「やることの確認」です。そこで管理職は、会社の方針や経営戦略、大切にしたい価値観、部門目標を部下に伝え、部下はそれに基づいて個人目標を設定します。これが目標の連鎖を実現します。

 また評価には、評価の結果を示すことにより、会社の価値観を浸透させる力があります。例えば戦国時代の織田信長が行った桶狭間の戦いの論功行賞で説明すると、次のようになります。

 桶狭間の戦いでは、織田軍は寡兵をもって、今川の大軍を破り、今川義元の首級を挙げました。信長が戦後の論功行賞において戦功第一を梁田政綱としたことは、当時の常識を破るものでした。梁田政綱は、今川義元が桶狭間で休憩しているという情報をもたらした土着の武士でした。当時の論功行賞では義元の首級を挙げた毛利新助、義元に一番槍をつけた服部小平太を戦功第一に挙げることが常識でした。
 桶狭間の戦いでは、戦力差が歴然としていて、通常の戦法では勝てません。勝つには限定した戦場を作り出し、その限定した戦場での戦力差で優位に立ち、義元の首を上げることだけを目標とするしかありませんでした。それに加えて、敵が油断しておればなおよい、気象条件が雨か霧であればなおよい、というものでした。

 この戦いで一番重要だったのは、義元の居場所がどこであるかという「情報」でした。この「情報」をもたらしたのが梁田政綱でした。信長が梁田政綱を戦功第一としたことは、「情報重視」の価値観を織田軍団に明示したことになります。

 企業にも経営理念や大切にすべき価値観があります。これらを社員に浸透させるためには、企業の価値観を具体的に評価基準で明示し、価値観に沿った行動をした人や結果を出した人を高く評価すればよいということになります。このように考えると、評価というものは企業経営において大変大きなパワーを持っているといえます。