初任給を分析してみよう

 賃金は社会性、賞与は成果性と言われます。その賃金の社会性で最たるものは「初任給」です。初任給は大体、大卒で20万円、短大・高専卒で18万円、高卒で16万円(東京/2009年)という社会相場が出来上がっています。中小零細企業であろうと大企業であろうと、この初任給の社会相場は受け入れざるを得ません。うちは赤字だから、うちは中小企業だからといって、20万円を大幅に下回る額で募集しても質のよい大卒は応募してきません。

 また、大卒と高卒の初任給の差は4万円です。年齢差は4歳ですから、この4年間は年1万円のピッチで上がっているということです。つまり、この年齢層では年1万円の昇給が必要であることが分かります。

 ある企業のA君は高校新卒で初任給16万円でした。企業業績が悪く昇給ストップで22歳を迎えたとします。その企業は業績が回復したので、大卒を採用することになり20万円で募集をしたとします。同じ22歳の高卒のA君は16万円ままで、大卒のB君は20万円となります。高卒で4年間仕事をしておれば、仕事は相当のレベルに達しています。ひょっとすると高卒のA君が大卒新入社員のB君を教えるということになっているかもしれません。教える方が16万円の賃金で、教わる方が20万円では、教える方のA君はやってられないと感じるのは当然です。

 次に初任給について、どういう性格のものか考えてみましょう。初任給は昇給を前提にしていると考えられます。将来昇給することを予定しているからこそ、昇給の期待があるからこそ大卒20万円の初任給が成り立っているといえます。

 「賃金」と「稼ぎ高」はおおよそ下図(賃金と稼ぎ高のイメージ 大卒社員)のような関係になっていると考えられます。賃金は毎年、少しずつ昇給していきますが、稼ぎ高は急激に上昇すると考えられます。特別な技術や習熟を要しない単純労働ほど稼ぎ高の上昇カーブは急激になっています。稼ぎ高に追いつくまでは賃金を上げなければならないことが分かると思います。

 極端に言えば、昇給がなければ30歳、40歳まで初任給のままということであり、これでは結婚し子供も育てることはできません。子供を育てることができない賃金では、労働力の再生産ができず、国も成り立ちません。子供を育てることができる賃金でなければならないわけです。そういう意味である年齢(30歳ぐらい)までは、昇給する仕組みが必要であるわけです。これは赤字であろうが、なかろうが必要なことです。